会計監査・公認会計士(粉飾決算) 監査論

 企業は法律にしたがって一定期間ごとに会計情報を公表しており、株主や債権者など企業外部の利害関係者はこの情報をもとに様々な意思決定をします。このような企業自身の手で開示される会計情報は、企業を取り巻く利害関係者にとって、きわめて重要な役割を果たしています。しかし、必ずしも正確かつ適切な情報がつねに公表されているとは限りません。というのも、企業は利害関係者を自社にとって都合の良い方向へコントロールしたいと考え、時には自社に不利になるような事実を隠したり、事実を曲げたりすることがあるからです。このように企業が意図的に違法あるいは不適切な情報開示を行うことを、粉飾決算と呼びます。

 企業外部の利害関係者が誤った情報にもとづいて、不適切な意思決定をすれば、彼(彼女)は思わぬ損害を受けかねません。そこで、利害関係者を保護するために、企業の公表する会計情報がその実態を適切に表しているかどうかを独立の会計専門家(公認会計士)によってチェックすることが必要になってきます。そこで上場会社などの一部の企業に対しては、法律によって独立の専門家による会計情報のチェック、すなわち監査の実施が義務づけられており、現在わが国では商法と証券取引法にもとづいてこのような監査が行われています。

(伊豫田 隆俊)