朝永振一郎氏の「量子力学」(みすず書房)を引用して説明します。
振動子のエネルギーはポテンシャルエネルギーと運動エネルギーの和になります。
ここで、度,は例えば,のように、バネ定数と慣性質量で表すと、普通の振動子と同じです。
ボルツマンの原理によると、この振動子のエネルギーは次のようにして計算されます。
(この変形は、と置き換えて、さらに二つの変数,を用いるとになることを利用します。授業でも示します。)
しかし、もし、エネルギーが連続量ではなく、 という単位でしか取り扱えないとすると、一般に任意のエネルギーはのn倍(整数倍)で、
ここで、のはQuantumという意味を持たせるための添え字です。これに対して、以前のエネルギー平均値はとしてClassicalの意味をもたせればいいでしょう。の積分は簡単に実行できて、
となり、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーに平均がそれぞれというエネルギーが分配される、エネルギー等分配則そのものです。
は無限級数の計算が出来れば値が求まります。 この無限級数の計算には少々工夫が必要です。とすると、
ここで、がエネルギーの単位に比べて非常に大きいと、つまり、高温でさまざまな振動エネルギーが最小単位の比べて非常に大きいと、という小さな量の変動は目立たなくなり、エネルギーは連続的に変化するように映ります。このとき、物理系は古典物理学の法則が成り立つ領域にあることになります。このような状況でのの値が先ほど求めた古典物理学の値になるかどうか調べましょう。
となって、とゼロ振動エネルギーを除いて同じ結果を与えます。このゼロ振動エネルギーはで非常に小さいと考えるとに一致します。エネルギーが最小単位で変化すると考えても、高温の極限では古典統計力学のエネルギー等分配則を満足するという理屈を作り出しことが出来たのです。
温度が低い場合に、古典統計と量子統計で決定的な違いを生じます。積分と無限級数による平均エネルギーの表現による違いが興味深い結果を与えます。 これは量子系における「低温での自由度の凍結」という言葉で表現されます。