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quantum mechanics
1-2. 黒体放射
- 平均エネルギー(古典統計と量子統計の違い) -
量子力学 - 太田 雅久

 朝永振一郎氏の「量子力学」(みすず書房)を引用して説明します。

振動子のエネルギーはポテンシャルエネルギー運動エネルギーの和になります。

E=aq2乗+bp2乗

ここで、度abは例えばa=k/2b=1/2mのように、バネ定数k慣性質量mで表すと、普通の振動子と同じです。

ボルツマンの原理によると、この振動子のエネルギーは次のようにして計算されます。

数式

(この変形は数式数式と置き換えて、さらに二つの変数Eθを用いるとdxdy=2dEdθになることを利用します。授業でも示します。)

数式

数式

しかし、もし、エネルギーが連続量ではなく、 εという単位でしか取り扱えないとすると、一般に任意のエネルギーはεのn倍(整数倍)で、

E=nε

従って、上に示したように平均エネルギーは積分の比で表されるのでなく、無限級数の比となります。
数式

ここで、<E>QQはQuantumという意味を持たせるための添え字です。これに対して、以前のエネルギー平均値は<E>cとしてClassicalの意味をもたせればいいでしょう。<E>cの積分は簡単に実行できて、

数式

となり、運動エネルギーとポテンシャルエネルギーに平均がそれぞれkT/2というエネルギーが分配される、エネルギー等分配則そのものです。

 <E>Qは無限級数の計算が出来れば値が求まります。
この無限級数の計算には少々工夫が必要です。x=ε/kTとすると、

数式

ここで、kTがエネルギーの単位εに比べて非常に大きいと、つまり、高温でさまざまな振動エネルギーが最小単位εの比べて非常に大きいと、εという小さな量の変動は目立たなくなり、エネルギーは連続的に変化するように映ります。このとき、物理系は古典物理学の法則が成り立つ領域にあることになります。このような状況での<E>Qの値が先ほど求めた古典物理学の値kTになるかどうか調べましょう。

数式

ε≪kTの極限を考えます。このとき、

数式

と近似出来ますから、

<E>Q?=kT+(ゼロ振動エネルギー)

となって、<E>cゼロ振動エネルギーを除いて同じ結果を与えます。このゼロ振動エネルギーは1/2hνで非常に小さいと考えると<E>cに一致します。エネルギーが最小単位εで変化すると考えても、高温の極限では古典統計力学のエネルギー等分配則を満足するという理屈を作り出しことが出来たのです。

温度が低い場合に、古典統計と量子統計で決定的な違いを生じます。積分と無限級数による平均エネルギーの表現による違いが興味深い結果を与えます。 これは量子系における「低温での自由度の凍結」という言葉で表現されます。

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