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quantum mechanics
2-4. 位置と運動量の不確定性関係
- 回折像の大きさ -
量子力学 - 太田 雅久

 幅がdの無限に長いスリットを考えましょう。無限に長いということは、スリットの端の効果を無視できるようにするという意味です。スリットに垂直に波長λの光をあてますと、図のように後方のスクリーンに光の縞模様ができます。図ではスクリーンに到達する光の強度をグラフで示しています。

回折像の大きさと光の強度[1次元]
回折像の大きさと光の強度[1次元]

 山になっている所は光の強度が大きく、谷になっている所には光は到達しません。スリットからの光は回折し、干渉して縞模様を作るのですが、中心から最初の谷は、図に示されているようにsinθ=λ/d(θは非常に小さいと考えて、θ=λ/d)で示される方向にできます。

 一点から発せられる光も、同じように回折して、スクリーンに像を作りますが、θ=λ/dの角度で拡がってゆきます。その結果、像は有限な大きさをもった、ぼけたものになります。

 このとき、この光学系の解像度はθ=λ/dで表わされます。

 実際には、レンズのように円形のスリットによって像を作ります。円形のスリットによる回折像は、スリットから出てくる光の振幅をすべてたし合わせる、つまり積分して求めます。被積分関数はベッセル関数となります。詳しくは物理数学として学習してください。結果だけを示します。

 直径がdの円形のスリットからの回折像の大きさは図に示されているように、θ=1.22λ/dの角度で拡がったものとなります。係数の1.22が一次元の場合との違いですが、ここでは としてもかまいません。

回折像の大きさと光の強度[2次元]
回折像の大きさと光の強度[2次元]
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