現在、微細加工の容易さから集積回路にはMOS型のトランジスタが多用されている。このトランジスタは今まで説明したようにpn接合を基本としたものではない。MOS型のトランジスタの基本は電荷の蓄積である。図2-12-1aのようにコンデンサーに電圧を印加すると電荷が蓄積される。図2-12-1bのように蓄積された層に2つの電極(ソースSとドレインD)を設け、この間に電圧を印加すれば蓄積された電荷がキャリアとなって電流が流れる。電荷の量はコンデンサーへの印加電圧で制御できるのでSとDの間に流れる電流を制御できる。実際のMOS半導体は図2-12-2の様な構造でコンデンサーを形成する。金属(ゲート)と半導体の間に電圧を印加すればバンドは図2-12-3の様に曲がる。半導体はp型を用いているが界面近傍ではフェルミレベルと伝導帯が近づきむしろn型の性質を界面近傍に電子が集まる。図2-12-4aのように電極S,Dを設けてやればゲートへの印加電圧でS,D間の電流をコントロールすることができる。実際には図2-12-4bのようにSを共通にして電圧がかけられる。
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