社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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1-2 調査票の作成
1-2-5 ヒント&プラクティス2 「でもそんな簡単に質問文なんか思い浮かばない!」


1.質問文は大いに「盗む」べし??
質問紙調査について学ぶとき、調査票の構成のしかたや、質問文や選択肢の作り方についてまずひととおり学ぶ。しかし、いくら仮説を立てて、調査項目を決めて・・と言われても、なかなかそう簡単にはいかないものである。

もちろん自分のオリジナルな調査票や質問文を作ることは大事なことであるが、同時に過去に行われた調査ではどのようなことが質問されているのか、またどのような結果が出ているのかを知ることも大事である。(学ぶ=真似ぶ)

たとえば、
  • 過去の代表的な研究と同じ質問をすることで、時代的な変化を調べたり、自分が対象としている母集団と比較して、その特徴を明らかにすることができる。
  • 過去に行われた調査結果を前提にして、さらに一歩進めたオリジナルな調査を企画したり、同じ内容を違う観点や方法から問い直すこともできる
・・など

このように、一定の形式があるので、過去の研究との比較や追調査が行ないやすいことは、質問紙調査など量的社会調査の一つのメリットである。したがって、先行調査の質問文をよく見て、自分もそれを使ってみること(盗んでみる?こと)は悪いことであるどころか、科学的にも有意義なことといえよう。

※図書館で、様々な質問紙調査の内容と結果がのっている書籍や資料を検索してみよう。また、各ゼミの先輩たちが残した卒論やゼミ論も見せてもらって参考にしよう。(その際、成功例だけではなく、失敗例からも学ぼう。)

2.で、「盗む」前と後で比べてみよう
(例題)「質問紙法にもとづく社会調査データベース(SRDQ)」を利用してみよう。

このSRDQは、過去に日本で行なわれた社会調査(質問紙調査)について、結果の数値データにいたるまでをオンラインで公開する本格的なデータベースである。

インターネットのブラウザーから、下記のサイトにアクセスしてみよう。
⇒ 「質問紙法にもとづく社会調査データベース」 http://srdq.hus.osaka-u.ac.jp/

  1. 【質問文・選択肢の検索】
    • たとえば、「父親」というキーワードを入力して、送信ボタンをクリックする。
    • すると、「父親」という言葉を含む質問文の実例が43件、検出される。
    • また、各質問のあとに記されている調査名をクリックするとその調査の概要が、同じく質問番号をクリックするとその質問がおこなわれた質問紙全体の内容が表示される。(あるいは、AND/OR検索機能を利用して、対象を絞ってもいいだろう。)
    • そこで、自分が使えそうな質問文をいくつかピックアップしてみよう。
  2. 【分析可能な社会調査データ】(HOMEページ左側)
    • ここでは、日本で最も代表的で大規模な社会調査である「社会階層と社会移動(SSM)全国調査」の1955年から1995年分まで、10年間隔で過去5回実施されている調査のデータがオンライン上からの指定によって分析できる。また、2001年に行われた「情報化社会に関する全国調査」のデータも同様に分析できる。
    • 試しに、分析メニューから「度数分布表」や「クロス集計」を選択し、さらに自分で変数(質問項目)を選択して、分析をおこなってみよう。
    • また、「質問項目リスト」から、各質問文も見ることができる。その中にも、参考になる文例が多くあるはずだ。
※自分がつくった質問紙の中に、このデータベースから得た質問文も入れてみよう。そして、その結果はデータベースの結果とどう違うか、なぜ違うのかを考えてみよう。

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