面接と会話の違いは、まず会話には、どちらかの一方に優先権があって、一方的にその会話をリードすることがあらかじめ決定されているようなことはないということである。
場合によって、職場などにおいて上司が一方的にその会話をリードすることもありうるかもしれない。しかしそれは残念ながら、会話であるといえるかどうか疑問になる。それは説教であったり説得であったりする場合が多い。本来の会話であれば、やはりどちらに優先権があるということはない。互いに自由に発話が行き来することになる。双方に上下関係があることによって、一方的な発話になる場合があるだけであって、それが会話の前提条件ではない。
一方、面接は、会話とは違って、面接者と被面接者というコミュニケーションの形式がパターン化されていることが前提である。ここでは面接者は、相手にたいして面接をしており、面接する側に立っている。被面接者は、面接される側におり、あくまでも双方の立場は異なっている。この場合、面接には多様な面接があって、面接が社会調査の固有のものでないことに気づいてほしい。というのは、就職の際の人事採用の面接もあるし、警察などが容疑者に面接する場合もあり、営業マンが顧客と面接して営業を行う場合の面接もあり、さらにカウンセリングなどの悩みの相談における面接などもあるからである。
人事採用の面接や警察の容疑者にたいする面接などは、どちらかというと面接者が被面接者にむかって情報を得ようとして指示的に面接するものであって、社会調査における指示的面接調査にも類似している。また営業マンの面接は、どちらかというと説得する面接あるいは押しつける面接である。それにたいして、社会調査における自由面接法は、被指示的であるという点では、カウンセリングの面接に類似している。
しかしカウンセリング面接とは異なる点は、社会調査の自由面接が相談面接あるいは臨床面接ではなく、基本的にデータ収集の面接であり、仮説構築あるいは仮説検証を目的としているということである。面接は、会話とは異なるが、社会調査の自由面接法における面接は、さらに特有な特徴を有する面接法であるということになる。
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