社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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2-1 面接法とは何だろうか
2-1-3 面接の基本的要素


 面接場面を構成している基本的要素は、まず第1の要素は、「面接する人」(面接者)である。そして第2の要素は、「面接される人」(被面接者)である。第3の要素は、両者にとって共通する主題としての「調査の意義および目的の共有」である。第4の要素は、両者を媒介することになる「ことば」が重要である。そして第5の要素は、共通の基盤である「空間と時間」である。面接にあたっては、これらの5つの基本的要素を十分に配慮する必要がある。
 面接者、すなわち調査者であるが、ときに調査者の代理としての調査員が面接調査にあたる場合が少なくない。当然のこととして、調査員は、調査の内容やその意義および目的についてしっかりと認識していなければならない。訓練された調査員であることが重要である。面接される人、すなわち調査対象者(被面接者)は、その属性によって面接時には十分な配慮が欠かせない。これは第5の要素とも関わるが、面接に際しての訪問時間や空間についての十分な配慮が不可欠である。
 第3の要素は、面接が成功するか否かの大きな分かれ目になるところである。つまり、調査者は言うまでもないが、被面接者が調査の意義や目的を理解して応じてくれているか否かで、得られるデータの価値は大きく違うものになる。被面接者には十分に調査の意義や目的を理解してもらえるように、まずはじめに努力すべきである。その場合にも、やはり面接者が用いる「ことば」が大きな影響力をもつ。適切なことばは、被面接者の回答や語りに弾みをつける。
 面接者は、被面接者の回答や発話にたいしてけっして善悪や感情的な裁定をくだしたりせずに、常に共感的に応じなければならない。そして回答や発話が調査者にとって貴重なデータであることを常に表明し、自らが学ぶ者(学習している立場)であることを表明するように心掛けることが重要である。

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