そもそも最初から仮説が構築できたり、あるいは既存の仮説が存在したりする場合もあれば、ときに仮説構築が難しい場合もある。たとえば、ある事象が生じている場合にその原因を知りたいが、どのような仮説でもって取り組めばよいのか分からない場合がある。このようなときには、明確には構造化されない形の面接調査や集団面接法(グループ・インタビュー法)を多くのさまざまな人びと(男女別、世代別、居住地別、職業別、学歴別など)に実施することによって、何らかの仮説の構築の方向を見いだそうとしたりする場合がある。
仮説が構築できれば、その仮説を検証するための調査研究が実施されることになる。そのためにはその仮説を明らかにするための質問内容が設計される。ふつう、面接調査の質問は、氏名や所属や居住地や職業など、答えやすいことから開始される。面接調査の質問時間は、50分間〜60分間くらいにする場合が多い。ライフヒストリー調査やライフコース調査では、面接を何回も重ねることになる場合が多いので、質問の構成に十分に配慮することが重要になる。
このほかには、作業仮説の構築のためには既存の研究や理論、または既存の調査の結果や調査の枠組を調べたりなどして、検討することも重要である。また、その問題事象についての関係者や専門家に事前に聞き合わせをしておくことも重要である。作業仮説は、検証されることを求めているが、検証されない場合も少なくない。そのことは失敗というわけではなく、消去法的に少なくともその仮説は実証されなかったことが実証されたと考えることもできるのである。
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