社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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2-4 面接調査データを分析し、レポートにまとめてみよう
2-4-3 面接法のレポートの作成マニュアル


 いよいよ最終のレポートの作成の段階に入ることになる。この段階は、レポートにまとめるというだけではなく、大事なことは、この段階の作業が先ほどの図や表にまとまられた調査結果の分析という作業を兼ねているということである。得られたデータを分析するということは、仮説構築あるいは仮説検証のいずれの研究においても、仮説との関連を考慮するということになる。その関わりにおいて得られた調査結果が何を意味しているのかを分析することになる。もちろん、それはあくまでも調査者の主体的な判断や解釈にもとづいて記述的に表現されるものである。
 いま記述的とはいったが、むしろチャート図にして表示されたりした方が客観的な理解を得やすいだろう。結局、企画の段階からこの調査研究が何を追究してきたのかを全体的に示しながら、今回の研究結果をレポートにして総合的にまとめていくのが最終レポートの作成ということになる。研究のプロセスを順番に示せば、ほぼ次のようになるだろう。
  1. 問題意識(自分は何に問題関心があるのかをよく考えてみる)
  2. 醗酵期(問題意識の明確化、先行研究のレビュー、仲間との議論、テーマの設定)
  3. モデルの構築(仮説の構築、変数の選択、変数間の関係についての仮説)
  4. データ収集法の決定(調査対象、面接方法、分析方法)
  5. データの収集(調査の準備、実査)
  6. データの整理(コーディング、図表化、図式化、コンピュータの活用)
  7. 結果の分析(解釈)(モデルの有効性や仮説の妥当性の検討)
  8. 課題と展望(今後の課題は何か、遣り残した点など)
 この最後の 8.の段階にまで来ると、改めて 3.のモデルの構築の段階に戻り、モデルや仮説の修正(構築)について再度、検討することになる。したがって、社会調査は、何度も何度も繰り返されていくことになる。そのことを通して、誰がいつ、どこで実施しても同じ結論に到達する普遍性や法則性を見いだすことになり、科学としての社会学の調査の意義が実証されることになる。
 そして最終的には、つぎのような順序でレポートにまとめられていくことになる。1.や 2.といった順番は、一応の目安である。むしろ、たとえば、「1. はじめに」のところで身近なことから問題意識を抱いたことを明示した後、2.と 3.は一緒にまとめて、「2. 調査の目的」として提示しておいてもよい。いくつかをまとめて括っていくようにするとよい。12.番目までもあると、細かくすぎて第三者には煩雑に思えてくる。
  1. はじめに(問題意識の明示)
  2. 調査の目的の明示
  3. 作業仮説などの呈示
  4. 既存のデータや学説の紹介と今回の調査の関連性の明示
  5. 調査方法(面接法)、調査対象、調査期日
  6. チェック・リストの明示
  7. 実査(生のデータの収集)
  8. 調査結果の呈示(図や表による要約、QアンドAによるエピソードの呈示など)
  9. 考察(結果の分析、解釈の呈示)
  10. 結論(結論を仮説検証との関連で明示)
  11. おわりに(全体の要約)
  12. 参考文献
 できれば一つのレポートには、それぞれ節が5〜6くらいにまとまっていると、読みやすくてよい。文章は、できるだけ明確に分かりやすく書いておくことが大切である。そのためには自分で何を言おうとしているのかを十分に吟味してから執筆するようにすることが重要である。

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