文章のリズム―音読の重要性
以上、クタクタと述べてきましたが、何よりいい文章にはリズムがあります。完成後は一度声に出して読んでみることをお勧めします(電車の中では絶対にしないように…)。そうすれば、自分の文書の弱点、曖昧な箇所などが一目瞭然です。それに、執筆に行き詰まったときなど、画面に向かって声に出して読むことでリズムがとれ、新たな文章が浮かんでくることは経験上よくあります27。
また、文章を打つときのリズム・スピードと読者が読むときのリズム・スピードとは根本的に異なります。大学教育、というか近代の教育システム全体の中ではあまり重視されませんが、やはり音読というのは文章作成においては見過ごすことのできない重要な要素だということを忘れないでください。
その意味で、リズミカルに読みやすくということを考慮すれば、句読点を打つ間隔は重要です。書いているときの感覚で「、」を打つと、大方の場合読むときには強制的に短い間隔で息つぎをしなくてはならない強迫観念にさいなまされます28。僕自身も校正のときはかなりの数「、」を取り払うことが多いです。特に調子が乗らないときに書いた、書いては消し、消しては書き…といった試行錯誤がはなはだしかった文章などでは…。
また、試験答案によくありますが、「〜なのだ。〜なのだ。〜なのだ。」といった、バカボンのお父さんのような言い回しやしつこい繰り返しや、アホみたいに長いセンテンスなどのチェックも、音読すれば一目瞭然に判明します。
だからときに音読をしてみてください。そして句読点や言い回し以外にも他の部分をチェックしながら、提出前には推敲を十分施した上で提出してください。 推敲や校正を忘れずに!
何度もいいますが、十分に推敲を重ねた上で提出してください。
過去にあった事例からいうなら、ホワイトで消した後その部分を修正し忘れたまま、そこかしこにヘンな空白がある論文、変換ミスがやたらに目立つ(たまに傑作がありますが…)論文、レイアウトがまったく施されていないベタ打ちに近い論文などがありました。 「あわてて出しました」ということがあからさまな論文を提出すると、口頭試問のとき極めてみっともない事態になります。後で「暇がなくて…」といった言い訳をしないように29。 バックアップとトラブルへの対処
最後に、機械で文章を作成する恐ろしさは十分認識しておいてください。マーフィーの法則か関西弁でいうところのインケツか、急いでいる時にかぎってハングアップする、〆切間際にかぎってプリンターが壊れる、時間がないときにかぎって変な操作をして一段落丸ごと消してしまう…、といった事態になります。後悔先に立たずです。
絶対に機械は信用しないでください。もちろん、自分という人間も信用しないでください。
[保存]は煩雑にしてください。キーボードから反射的にできるようになっておいてください。いちいち[ファイル]メニューからマウスで[保存]を選択するは面倒なものですから、[コマンド+S]や[ctrl+S]が反射的に押せるようになってください。
僕などはタバコを吸うので、火をつけると同時に[コマンド+S]を押す癖がついています。でも、それでも頭に血が上っているときはうっかり[保存]を忘れ、そういうときに限って、画面が凍りついたり、キー入力を受け付けなくなったりし、泣く泣く[コマンド]+[ctrl]+[パワー]や[alt]+[ctrl]+[del]を押したことも多々あります30。したがって、本体内のハードディスクだけでなく、フロッピーやCD・DVDなど、定期的に他のディスクにバックアップすることも絶対に忘れずに31。卒論に限らず、ハードディスクがダウンしたときのためにバックアップ用のディスクがあると何かと安心です。
ただ、最も危険なのは、搭載されているメモリーが少ないにもかかわらず、同時に複数のソフトを起ちあげているとき、その中でも(最近は少なくなりましたが)インターネット・通信系ソフトとゲームソフトは要注意です。書いている途中に、「ちょっとメールでも」「ちょっと気分転換に」32などと思ったときには、ウィンドウを切り替える前に、絶対に[保存]は忘れずに!
Macにしても、Windowsにしても、パソコンのシステムはまだまだ柔です。しかも、通信系ソフトやゲームソフトはシステムの中枢部に簡単にアクセスし一部を書き換えたりすることもある、俗に言うところの「行儀の悪い」ソフトです。したがって、これらは同時に起ちあげておかないのが最も無難なのですが、最低限[保存]([コマンド+S]や[ctrl+S])だけは忘れないようにしてください。 プリントアウトのススメ
また、一日の仕事が終わったらまめにプリントアウトし電車の中ででもゆっくり校正するということもやってみてください33。最悪プリントアウトが手もとにあれば何とかなります。
そして一番いいのは、自分の家なり大学なり友人のところなり、仮に自分の機械が壊れてもどこか別の場所で文書作成や印刷ができるようにしておくと安心です。
自分のアドレス「sl〜@center.konan-u.ac.jp」にファイルを送っておくのも手です34。提出する日に大学のレーザープリンターを使う35、などの使い方もできます。
ただ、インストールされているフォントに違いがありますので注意してください。2号館や5号館のWindowsは、ほとんどプレインストールされた字体のみです。変なフォントを使っていると別のパソコンでは強制的に近似的なフォントに置き換えられ、表やレイアウト、ページの変わり目などが狂ってしまうことがあります。特に再々語ったように、スペースで整形を施していれば泣きの涙モンです。
とにかく、〆切間際は何が起こるかわかったもんではありません。細心の注意を払っておき、ショーモナイ泣き言をいうハメにならないよう注意してください。
さあ、それではがんばってください
「コクがあるのにキレがある」 そんな論文を待ってます では、あなたたちのご健闘を祈り 合掌…(-_-)
27 他人様には絶対に見せられない姿だが…。
28 ちなみに、手書き時代のレポートは字数稼ぎでやたら句読点が多かった。ひどいものでは文節毎に句読点が打たれてました。 29 暇人ほど「時間がない」とよくいいます… 30 これらのキーボードリセットはソフトウェアリセットです。これでもだめならハードウェアリセット(本体の電源ボタンを切る、コンセントを抜く)しか手がありません。ただし電源切断はハードディスクへのアクセスランプが消えていることを確認後行ってください。 31 ちなみに、私は自宅でも研究室でも内臓のハードディスクとは別に外付のハードディスクが接続してあり、一日の仕事を終えると必ず外付ディスクにバックアップをとります。 32 たいていは気分転換の域を越えてしまうが…。 33 この意味で思い出すのは私の友人の語ったこと。彼がいうには「通学手段と成績との間には有意な相関がある」とのこと。すなわち、通学手段が、電車→徒歩→自転車→バイク→車の順に、学生の成績は低下するとのこと。まあ、これには他の要因も絡んでいるので、若干は再考の余地はありますが、経験的に当たっているかなという気もあります…。 34 添付ファイルを大学のPCの[S:]に保存すれば、自動的にウィルスクリーニングをします。 35 センターの一部のプリンターではカラーも使えます。ただ少々時間がかかります。またセンターのプリンターには印刷枚数の制限がかかっています。今年度アホみたいに印刷した方、要注意!一度印刷枚数の確認をお忘れなく! |