社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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9-4 材料の準備


①写真
原則的には、自分で撮影した写真を使用することを推奨します。その写真を撮影する時に、人物が入る場合は、後で動画としてまとめて公表することを事前にその人に伝えておくとよいでしょう。ただ、祭のように不特定多数の人が参加するイベントの場合は、それが難しい場合もあります。小学校で子どもの姿を撮影する時、後ろ姿を撮るなど、個人が特定できないような配慮が必要な場合もあります。公表のための許可が得られない場合は、写りこんだ人の顔を、写真編集ソフト(Adobe Photoshopなど)を使ってぼかすという作業が必要です。
②BGMとなる音楽ファイル
自分が持っているCDの音楽をそのまま使用するのは、著作権の問題でNGです。その作品の著作権管理を行っている団体(一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)など)を通じて許諾を得る必要があります。その際には費用が発生しますし、動画サイトに投稿する場合には、たとえばJASRACであれば許諾契約をしている動画投稿サイトでなければいけない、音源は自分で演奏したものでないといけないなど、細かい決まりがあります。それでは、どうすればよいのでしょうか。近年、インターネットで著作権フリーの音楽素材を提供するサイトが数多く開設されています。ただし、以下で述べるクリエイティブ・コモンズのように、その作品を作った人の名前を提示すなど、一定のルールを守り、商用で使わないのであれば許諾を得ずに自由に音楽素材を使えるという場合もあります。
クリエイティブ・コモンズ
スタンフォード大学のローレンス・レッシグ教授によって提唱された「クリエイティブ・コモンズ・コーポレーション」と呼ばれる非営利組織とそのプロジェクトの総称のこと。非営利組織は2001年に設立されました。「コンテンツが自由に共有できる環境を作り出すための活動」を行っています。「自由に共有できる」とは、著作者以外の利用者が、許諾の心配やコストをかけずに、コンテンツを複製したり、頒布したり、公の媒体に表示・上演・送信したりできるということを意味します。たとえば、先に述べたように、商用コンテンツでも、許諾(たとえば、日本音楽著作権協会が運営するJ-TAKTに申請可能)があれば利用することができますが、料金が発生します。料金が発生するということは、料金を払わない(払えない)人を排除するということになります。
クリエイティブ・コモンズは、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を提供しています。クリエイティブ・コモンズ・ジャパンのサイトによれば、これは「インターネット時代のための新しい著作権ルールで、作品を公開する作者が『この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません。』と意思表示するためのツール」です。許諾を取りたい著作者はインターネット上で簡単に提示ができるような仕組みが作られています。All rights reservedではなく、Some rights reservedの状態で、作品を共有するための仕組みがクリエイティブ・コモンズです。
既に、皆さんがよく使っているWikipediaの画像にも、よく見ればCCライセンスにより提供されているものが数多くあります。
③ナレーションを録音した音声ファイル
まず、何をナレーションで伝えたいのか、原稿を書きます。ICレコーダーで録音してもよいのですが、最近ではスマートフォンに録音機能が付いているものがほとんどですので、そちらを利用してもよいでしょう。原稿を全て一つのファイルに収める必要はありません。いくつかのファイルに分けて録音しておいた方が、後で編集が容易になります。録音の際の注意点としては、静謐な環境を保つこと、できるだけはっきりと喋ること、マイクからの距離を適切に保つこと、などがあります。音声ファイルの形式は、最近のスマートフォンだとmp4の形式で保存されます。その場合、映像編集ソフトウェアで変換する必要はありませんが、機種によってはファイル形式を変換するために違うソフトウェアが必要になる場合もあります。

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