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原価計算 杉山善浩
第9章 総合原価計算

9-5  工程別総合原価計算

(1)工程別総合原価計算とは

企業は連続する2つ以上の加工作業によって製品を製造する場合がある。このとき、総合原価計算では、製品製造のための1つ1つの加工作業を「工程」という区分で区切る。製品の製造を2つ以上の連続する工程で区切った場合、その工程ごとに原価を計算する総合原価計算を工程別総合原価計算(continuous process costing)という(原価計算基準25)。第6章では、単一工程を前提とした総合原価計算を説明したので、ここでは工程別単純総合原価計算について述べる。

(2)工程別総合原価計算の計算方法

工程別総合原価計算の計算方法には、累加法(cumulative method)と非累加法(non-cumulative method)がある。ここでは製造工程が2つある場合の累加法を説明しよう。第1工程では、始点で直接材料を投入し、その材料に加工を行い、第1工程完成品を産出する。したがって、第1工程の計算はこれまでの単純総合原価計算と同様の計算方法により、第1工程の月末仕掛品原価と完成品原価を計算する。そして、第1工程の完成品原価を第2工程に振り替える。
第2工程では、第1工程の完成品原価を前工程費として受け入れ、第2工程で発生した原価とともに、第2工程の月末仕掛品原価と完成品原価を計算する。なお、前工程費は、第2工程の始点で投入されるため、直接材料費と同様の計算を行う。

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