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原価計算 李 健泳
第13章 戦略的原価計算

13-6  資本コスト率

資本コスト率(cost of capital)は投資案の毎期の現金流出入額の現在価値をもとめる際の割引率である。また、それは投資にたいして要求する利益率の下限となる最低必要利益率であり、かつ不利な投資案を棄却する切捨率でもある。なお、投資案の資本コストを算定するときには、企業の資本構成(負債と株主資本の構成比)を考慮すべきである。なぜなら、特定の調達源泉のリスクが企業全体のリスクを変えるからである。投資案評価では、一般的に資本構成を考慮した加重平均資本コスト率(weighted average cost of capital)による資本コスト率が用いられる。なお、負債の資本コスト(たとえば、支払利息など)は費用扱いになり、現金で支払う法人税を減らす効果(tax shield)を持つため、計算上、注意したい。

図表13-2 加重平均資本コスト率の算定   (実効税率を40%と仮定)
源泉構成比率(1)源泉別資本コスト(2)税効果を考慮した
源泉別資本コスト(3)
加重平均
(1)×(3)
社債
普通株
内部留保利益
30%
50%
20%
6%
8%
8%
6%×(1-0.4)
8%
8%
1.08%
4.0%
1.6%
合計100%  6.68%
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