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環境計測のための機器分析法 茶山健二
1章 環境計測のための機器分析法
1-4  機器分析の種類
 機器分析の方法には種々ありますが、これらを原理別に大きく分類すると、電磁波分析、電気分析、分離分析、その他の4種類になります。
電磁波分析
電磁波分析は、物質の電磁波吸収または放射現象など物質と電磁波との相互作用により物質の化学的情報をとり出す方法であり、機器分析中もっとも広く利用されている方法です。これには次の各方法があります。 これらの方法に対して、その相互作用する電磁波の波長もしくはエネルギーの大きさにより表1・1のように分類することもできます。
電磁波
領 域
波長cm エネルギー
eV
相互作用する対象 吸収現象を利用する
分析法
発光現象を利用する
分析法
その他の相互作用
による分析法
γ線 10-8〜10-13 104〜109 原子核 γ線吸収分析メスバウアー分光法 放射化分析 電子線分析
X線 10-6〜10-9 102〜105 内殻電子 X線吸収分析 蛍光X線分析
発光X線分光分析
X線回折分析
X線電子分光法
極紫外紫外1),2) 10-4〜10-6 1〜10-2 外殻電子 原子吸光分析 原子蛍光分析
フレーム分析
発光分光分析
濁度分析
可視1),2) 分子軌道電子 紫外吸収分析
吸光光度分析
円偏光二色性法
蛍光分析ラマン分析 旋光分散法
赤外2) 10-1〜10-4 10-3〜1 分子 赤外吸収分析
マイクロ波 102〜10-1 10-6〜10-3 磁場中の不対電子 常磁性共鳴吸収分析
ラジオ波 102以上 10-6以下 磁場中の原子核 核磁気共鳴吸収分析
表1・1 電磁波と物質との相互作用による分析諸法の関連性*
1)  紫外や可視領域の波長はnm(ナノメートル)単位で表わすことが多い。
 1m=102cm=103mm=106mm=109nm,1nm=10Å(オングストローム)
 波長λ、波数 、振動数ν、光の速さcとすれば、 =1/λ=ν/cです。また、光のエネルギーEは、E=hν=hc /λ=hc (h:プランクの定数)から計算することができます。
 EはkJ/mol、kcal/mol、eV(エレクトロンボルト、正しくはeV/molecule)などで表わす。各単位の換算係数は次表の通りです。
単位 - cm-1 erg/molecule eV/molecule kJ/mol kcal/mol
1 cm-1 1 1.986×10-16 1.240×10-4 1.196×10-2 2.859×10-3
1erg/molecule 5.034×1015 1 6.241×1011 6.021×1013 1.439×1013
1eV/molecule 8.066×103 1.602×10-12 1 96.48 23.06
1 kJ/mol 83.59 1.661×10-14 1.036×10-2 1 0.2390
1 kcal/mol 3.498×102 6.948×10-14 4.336×10-2 4.184 1
2)  紫外、可視、赤外領域を1)の単位を用い細分すると、次のようになります。
電気分析
電気分析は、物質の電気化学的性質から科学的情報をとり出す方法で、次のものがあります。
分離分析
分離分析とは物質を何らかの方法で分離した後、検出して化学的情報を得る方法で、厳密にいうと機器分析とはいいにくいものもかなりありますが、一応次の方法を入れます。
その他の分析法
その他の分析法としては、以上のどこにも属さない次の分析法があります。
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