試薬の選択性
発色試薬に選択性を与えるには、立体障害を生じるような基を適度に導入するのが1つの方法です。例えば、オキシンはアルミニウムと反応しますが、2-メチルオキシンはこれと反応しません。また1,10-フェナントロリンは鉄(II)のほか銅(I)とも反応しますが、2,9-ジメチル-1,10-フェナントロリン(ネオクプロイン)は銅(I)としか反応しません。しかし構造的な観点から、完全に1つの元素としか反応しない試薬を作ることは困難で、上例のネオクプロインも大量のコバルトとは反応します。この他、前項に記した三元錯体の利用も有効な場合があります。