溶液の濃度を最も簡単に比較する方法は、同じ太さの試験管に入れた濃度の知られた標準溶液と、試料溶液の色と肉眼で見比べることです。しかし、この方法では、精度の高い測定はできません。(上写真)
吸光光度法のために用いられる装置には、手動式のものから、高度に自動化された高性能なものまで多種類の分光光度計が市販されています。しかし、その基本構造は、いずれも同じで、光源部、波長選択部、試料室、測光部から構成されています。(図2・9)
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比色
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吸光光度法の測定装置の基本原理
光源としては、測定波長が可視領域の時には、タングステンランプが用いられます。紫外部領域の測定には、重水素放電管が必要です。(下写真)
光源からの光は、スリット、レンズ、ミラーを通して、平行光線にしたのち、プリズムあるいは、こうした回折格子によって、波長順に分けられます。そしてこの回折格子で必要な波長の単色光を選び、試料室のセルに透過させます。(下写真)
吸収セルに入った単色光は吸収セルの溶液中で、その一部が吸収されます。吸収されずに通過した光は、光電子倍増管で電気信号に変換され、増幅されて、メーターあるいはデジタルで表示されます。また、記録計に記録する方式のものもあります。(下写真)
分光装置内部
タングステンランプ
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重水素放電管
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回折格子
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光電子倍増管
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