蛍光物質の濃度
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の溶液を長さ
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のセルに入れ,励起光源(通常紫外線)によって照射するとき,入射光の強さを
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,透過光の強さを
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とすれば,蛍光物質によりまず生じる光の吸収についてはLambert−Beerの法則が成り立ちます。
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(3・1)
ここで は吸光係数です。したがって吸収された光の強さは,
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(3・2)
となります。光の照射方向と直角に受光器をおいて生じた蛍光の強さを測定すれば,蛍光の強度 は,それ自身が溶液により吸収されず,また照射光の吸収に比例すると仮定すれば,
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(3・2)
ここで
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は溶液の照射面積,検出器の大きさとレスポンスなど機器による定数,
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は蛍光収率(吸収された励起光量に対する総蛍光量の比)です。
ここで
3)
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なので、この式を展開し、近似すると
が得られます。希薄溶液では式(3・4)が成り立つので、測定機器の諸条件を一定にすれば、蛍光強度
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は蛍光物質濃度
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に比例します。あらかじめ
![](img/m_19.gif)
と
![](img/m_05.gif)
との関係線(検量線)を求めておけば、未知濃度を知ることができます。
蛍光分析では,芳香族化合物などのように定量成分自身が蛍光を示す場合には,そのまま測定することができますが,蛍光試薬と反応させて蛍光化合物に変えることが出来ます。また,定量成分が消光作用(3-5 消光作用参照)をもつときには,適当な蛍光物質に定量成分を加え,蛍光の減少度から定量を行うことができます。この場合,定量成分(濃度
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)が存在しないときの蛍光強度を
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とすれば,
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(3・6)
となります。ここで,
![](img/m_12.gif)
は消光物質についての定数です。適当な蛍光物質の一定量を用い,あらかじめ
![](img/m_19.gif)
と
![](img/m_20.gif)
の関係を求めておけばよいのです。