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環境計測のための機器分析法 茶山健二
3章 蛍光分析 物質を光らせる
3-4  蛍光化合物と蛍光試薬
 無機化合物では,溶液の場合ウラン,タリウムの化合物以外はそれ自身蛍光を示さないので,通常有機の蛍光試薬は(fluorescence reagent)を作用させて,蛍光性金属錯体を生成させます。蛍光試薬は,一般に2つまたはそれ以上の芳香環を含み,0またはNを含む不飽和結合をもっているものが多くあります。試薬自身には蛍光性がないことが望ましく,純度がよいものを用いる必要があります。また水,溶媒その他の試薬も精製したものを用います。蛍光試薬との反応操作を行う際には,最適条件を正しく守り,pH,溶媒,温度などの影響に注意しなければなりません。表3・1に蛍光試薬の例を示しました。
蛍光試薬の例
 有機化合物では,蛍光は共役二重結合をもった高度に共鳴安定性を示す分子,すなわち芳香族や共役不飽和異項環化合物に強い蛍光を示すものがあります。また−NH2,−OHなどのような電子供与性の置換基が入ると強くなり,逆に−COOH,−NO2,−N=N−,重ハロゲンなどのように電子吸引性の基が入ると弱くなるかゼロになる傾向があります。蛍光性のない化合物の場合には,蛍光性を与える置換基を入れる方法があります。
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