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環境計測のための機器分析法 茶山健二
3章 蛍光分析 物質を光らせる
3-6  測定装置
 蛍光強度の測定装置は蛍光光度計(fluorophotometer)といい,その基本構成は図3・2の通りで,励起光を第1のフィルターまたはモノクロメーターで単色光として試料溶液に入射し,これと直角な方向から生じた蛍光をとり出し,第2のフィルターまたはモノクロメーターで分光して,蛍光強度またはスペクトルの測定を行います。
図3・2 蛍光光度計の基本構成
 光源は,普通,低圧または高圧水銀ランプが用いられ,前者では254nm,後者では365,405,436nmに強い輝線を出す。また,1次フィルターは不必要な波長の励起光,特に測定する蛍光の波長に近い光を除くのが目的であり,2次フィルターは励起光の反射や散乱,ラマン散乱光などを遮断します。励起光,蛍光ともフィルターを用いたもの(フィルター式)を蛍光光度計,蛍光側だけにモノクロメーターを用いたものを蛍光分光光度計といいます。また,キセノンランプ(200〜700nm,100〜500W)を連続光輝に用い,励起光,蛍光を2つのモノクロメーター(主として回折格子)でそれぞれ分光する方式のものは分光蛍光光度計と呼んでおり,スペクトル測定や,精密な測定に適しています。
 式(3・4)からわかるように,光源の強度が大きいほど蛍光強度は大きくなるので,最近は光源にレーザーを用いたものもあります。
 検出器には光電池,光電管,光電子増倍管が用いられます。また,ごく弱い蛍光は光子計数(photon counting)法によれば高感度測定ができます。

 測定セルは普通,石英製で四面とも透明な角型セルまたは試験管型セルが用いられ(右写真),特殊なものとして光滑のエネルギー分布などを測定するための三角型セルもあります。ペーパーや薄層クロマトグラフ法によって分離した成分スポットの蛍光を定量的に測る装置,蛍光寿命やりん光,偏光度を測る装置もあります。図3・3に分光蛍光光度計の光学系の例を示しました。
蛍光分析で使用するセル
図3・3 分光蛍光光度計の光学系の1例
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