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環境計測のための機器分析法 茶山健二
3章 蛍光分析 物質を光らせる
3-7  試料測定技術
(i)  光度計の選定
 蛍光スペクトルの測定や共存成分の影響を除く必要がある場合には,分光蛍光光度計を用いますが,共存成分の影響が少なく,励起光および蛍光測定のさいの波長幅が広くても差し支えない場合には,蛍光光度計を用いる方が取扱いも容易で,感度よく測定ができます。
(ii)  スペクトルの測定
 分光蛍光光度計を用いる場合には,まず蛍光が目視またはメーターのフレで一番強そうなところに励起光波長を固定し,蛍光側のモノクロメーターの波長を変えて仮の蛍光スペクトルを測定したのち,蛍光側のモノクロメーターをそのスペクトルのピーク波長に合わせ,励起光の波長を変えて励起光スペクトルを測定します。次に励起光波長をその最大ピークの波長に固定し,蛍光スペクトルを測定します。定量の際には,これらのスペクトルのピーク波長を用いるのが普通で,蛍光光度計の場合も上の操作に準じて最適光源とフィルターを選びます。なお以上のようにして得られたスペクトルは,いずれも測定機器の特性を含んだ見かけのスペクトルであり,真のスペクトルを得るには標準物質や標準ランプなどを用いて補正する必要があります。
(iii)  光度計の選定
 蛍光強度を測定するには,安定な一定濃度の標準溶液の蛍光を基準(例えば輝度100%)として行います。基準溶液としては定量成分の標準溶液(定量範囲の最高濃度),安定な硫酸キニーネの0.1〜1mol/l硫酸溶液,フルオレセインナトリウム溶液,ローダミンB溶液などが用いられます。
(iv)  測定上の注意
 測定の際とくに注意を要するのは,温度と励起光の影響で,温度は蛍光の波長と衝突による消光過程に影響を与え,上昇すると消光を促進し蛍光強度が減少します。また蛍光物質は光化学反応により解離や重合を起こしやすく,酸素の存在でとくにいちじるしくなることがあります。励起光を不必要に照射しないようにし,測定は速やかに,場合によっては時刻ゼロに外挿します。
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