紫外線を照射したときの蛍光の有無や色調により，定性を行うことができます。とくに固体試料の場合には便利であり，表3・2は各種鉱物の例です。生体組織などの検査に蛍光額微鎮を用いることがあり，各種有機物の蛍光スペクトルも同定に利用されます。

(i)  無機成分
　鉱石，金属，水など種々の試料に適用されますが，対象となる定量成分は吸光光度分析法ほど多くはありません。表3・3によく用いられる方法の槻要を示した。吸光光度法に比ベ1〜3けた感度がよく，0.01μg／ml程度の低濃度溶液についても定量可能で，特にレーザー励起蛍光測定装置を用いた場合には，pg／mlレベルの測定を行うことができます。N2レーザー励起-時間分解光子計数法を用いて，0.0008pg／mlのEu3+錯体，0.3pg／mlのSm3+錯体の蛍光スペクトルを測定した例があります。 (ii)  有機成分
　各種有機工業製品，医薬品，生化学試料，食品，大気粉じん，水など非常に多方面の試料に適用されます。
　表3・4は，それらの応用例の一部です。この方法は大気粉じんや食品中のベンゾ〔a〕ピレン，アフラトキシンなどの発がん物質，フェニルケトン尿症の新生児の血液中のチロシン測定など，環境保全や病気の診断などに重要な役割を果し，無機成分同様極微量の測定に適しています。
　なお高速液体クロマトグラフ法の検出手段としてさかんに使われ，また薄層クロマトグラフ法などの分離手段と組み合わせても用いられています。