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環境計測のための機器分析法 茶山健二
4章 原子吸光分析法 ヒントは太陽にあった
4-2  フラウンホーファー線
 1666年、ニュートンは太陽光をガラスのプリズムによって分光すると7色の光に分かれることを発見しました。この発見以来、「スペクトル」という述語が作られ、分光学が幕を開けることになります。以来、1世紀の空白の後、W.H.ウォラストンが、分光器を用いて、太陽光のスペクトルを観察し暗線があることを発見しました。ウォラストンは太陽光をプリズムで分光しているときにスペクトルの所々に暗い線があることに気付きました。この暗線は、最初の発見者よりも、その後にスペクトルの領域で多大な貢献をしたJ.フラウンホーファーの発見した「フラウンホーファー線」の名前で良く知られています。この発見こそが原子吸光法の扉を開く第一歩でしたが、実際に原子吸光法の化学分析への適用が提案されるのは、1955年A.ウォルシュとC.アルカメイドがその可能性を指摘してからのことです。
 フラウンホーファーは、フレーム中のナトリウムの黄色の線と太陽光のD線とが同じナトリウム原子に由来するものであることには言及できませんでしたが、キルヒホッフは、フレーム中に食塩を導入して得られる黄色のスペクトルは、太陽光中にある暗線であるD線と全く一致するものであることを発見しました。そして、この暗線の存在が、太陽の外側の冷気中にナトリウムが存在するために出来ることを説明しました。すなわち、太陽光よりナトリウム原子が吸収する波長の光が弱められて地球上に到達することを実験的に証明したわけです。(図4・1)
図4・1 分光蛍光光度計の光学系の1例
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