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環境計測のための機器分析法 茶山健二
4章 原子吸光分析法 ヒントは太陽にあった
4-6  原子化部
 原子化部には、目的元素を原子化する方法により次のような方式があります。
フレーム方式
 最も普通に用いられる方式で、フレーム中に試料溶液を噴霧して原子化します。(下写真)この方法では、フレーム中の原子の滞留時間が短く、またフレーム中のラジカルなどが目的元素と反応したり、噴霧器の効率にも問題があります。
電気加熱方式
 黒鉛や耐熱金属を発熱体とする炉を電気的に加熱し、試料溶液を乾燥・灰化・原子化します。(右写真)フレームレス原子吸光分析ともいいます。この方法は、少量の試料しか必要とせず(1〜100μl)、測定の際、炉内の原子蒸気層の利用効率がよいので、高感度測定が出来ます。黒鉛炉では炭化物が出来やすく、高温で炭素粒子によるバックグラウンドが大きくなるなどの欠点もあります。
冷蒸気方式
 水銀の分析に用いるもので、試料溶液を還元気化または加熱気化して原子蒸気を発生させます。フレームレス法の一種です。(図4・5)
図4・5 水銀測定用還元気化装置
水素化物発生方式
 ヒ素、アンチモンなどの分析に用います。(下写真)発生機の水素によってガス状の水素化物を生成させ、アルゴン−水素フレーム中に導入します。
水素化物発生装置
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