分配クロマトグラフィー (LLC)
分配クロマトグラフィーは担体上に保持された固定相液体と移動相液体への分配(溶解)の差により試料成分は分離され、固定相液体に溶解する割合の大きい成分ほど溶出が遅くなります。担体にはシリカゲルとポーラスポリマーがよく使われており、初期の分配クロマトグラフィーではGCと同様に担体表面に固定相液体を物理的コーティングして使用していました。しかし、これでは使用中に固定相液体が移動相液体により流出し、長期間のカラム性能維持が困難であり、現在ではほとんど使用されていません。物理的コーティングの代りに、固定相液体を担体表面に化学結合させた充てん剤がもっぱら用いられています。この化学結合型充てん剤の大部分はシリカゲル表面のシラノールに有機シリコーン化合物を反応させて得られるもので、表7・9に導入されている結合基の例を示します。特に、オクタデシル基を導入した充てん剤は種々の分離に広く用いられています。この場合、固定相は疎水性であり、移動相には固定相より極性の強い溶媒が用いられます。このような系を逆相(reversed phase)といい、逆に移動相に固定相より極性の低いものを用いる場合を順相(normal phase)といいます。一般に、前者は疎水性物質の分離に、後者は極性物質の分離に適しています。
表7・9 化学結合型充てん剤の結合基の例
疎水性結合基
オクタデシル、オクチル、メチル、フェニルメチル、ジクロロフェニル |
極性結合基
アミノプロピル、シアノプロピル、ニトロフェノール、ジオール、アクリルアミド、プロピルアルコール |
ところで、シリカゲルはアルカリに弱いため、シリカゲルを担体とする充てん剤はpH2〜8での使用に限られ、アルカリ側での使用にはポーラスポリマーを担体とする充てん剤が適しています。