検出器 (detector)
HPLC用検出器のセルは内容積の小さいフローセルで、下記の検出器がよく用いられています。特に紫外吸収検出器は最もよく使われています。
(1) 紫外吸収検出器(ultraviolet absorption detector)
測定波長が固定のものと、連続可変のものがあります。感度は高く、移動相流速や温度の影響を受けにくく、勾配溶離が可能なため非常に便利ですが、紫外線を吸収する成分でないと直接検出できません。
(2) 示差屈折率検出器(differential refractive index detector)
移動相と試料成分を含む溶出液との屈折率の差を利用しているため、すべての試料成分を検出できますが、感度が低く、勾配溶離が不可能なため、分析用よりも分取用に適しています。
(3) 蛍光検出器(fluorescence detector)
蛍光性の成分を高感度で選択的に検出することができます。蛍光性でない多くの成分は、蛍光試薬と反応させ、蛍光誘導体に変換することにより検出可能となります。
(4) 電気化学検出器(electrochemical detector)
フェノールやカテコールアミン類のように、電気化学的活性物質を選択的高感度に検出できます。設定された電位で酸化あるいは還元により流れる電流を検出するもので、設定電位により検出される物質が決まります。
(5) 電気伝導度検出器(electric conductance detector)
イオン性の物質の検出に使用されていますが、この検出器は温度、移動相の種類と流速変化の影響を受けやすいです。
表7・8にこれら検出器の検出下限、温度の影響、勾配溶離の可・不可を簡単に示しました。
表7・8 HPLC用検出器の比較
検出器 | 検出下限 | 温度の影響 | 勾配溶離 |
紫外吸収 | 10-10g/ml | 少ない | 可 |
示差屈折率 | 10-7g/ml | 有 | 不可 |
蛍光 | 10-11g/ml | 少ない | 可 |
電気化学 | 10-11g/ml | 有 | 困難 |
電気伝導度 | 10-8g/ml | 有 | 不可 |