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modern american economy
はじめに
担当:甲南大学 稲田義久


 本講義では戦後のアメリカ経済を学びます。アメリカ経済を勉強する意義は、以下の2つの点にあると思われます。まず第1に、アメリカは日本にとって特に重要な存在だからです。日本はアメリカと経済的のみならず政治的にもきわめて大事な関係にあることは周知の事柄です。ところで、これまで日本にいや世界に大きな影響力を及ぼしてきたアメリカ経済は、戦後から現在に至るまでの間すべて順調であったわけではありません。戦後圧倒的なプレゼンスを誇示したアメリカ経済は、1970年代から80年代にかけて、インフレと高失業、労働生産性上昇率の鈍化などに苦しみ、マクロ経済のパフォーマンスは地に落ちます。しかし、90年代初頭からIT革命が花開き、アメリカ経済は再び戦後直後のような国際的地位を取り戻しつつあります。この国の経済の動向は日本の将来を考える上で重要な参考材料となるのです。これがアメリカ経済を学ぶ第2の重要なポイントです。

 以下の章では、年代順にマクロの経済のパフォーマンスを概観し、アメリカ経済の動態の理解を高めたいと思います。ところで、時間がなくすぐに戦後のアメリカ経済についての具体的なイメージを得たい人は、最初に、「現代アメリカ経済早分かり (U.S. Economy at a Glance)」を一瞥してください。それではまずアメリカ経済を景気変動の観点から見ていきましょう。

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