← 5-4
6-1 →
modern asian economy
5-5. コンディショナリティはアジア経済を回復させる上で妥当だったのか?
担当:甲南大学 高龍秀<コ・ヨンス>


■経常収支の黒字化・対外債務の縮小という点では、成果。IMF・米国は妥当性を強調。

■ジェフリー・サックス(ハーバード大教授)、スティグリッツ(世界銀行副総裁)の批判
・アジアでは財政は健全であったにもかかわらず、無理に緊縮財政を求めた。
・あまりに高金利を要求したため、元々負債比率の高い企業がコンディショナリティにより破たんが続いた。
・高金利により為替の安定を達成できるかどうかは疑問。

■アジア危機後の他の論点 (問題点だけ挙げています、考えてみてください)
(1) IMFのコンディショナリティはアジア経済をアングロサクソン・モデル(米英型の自由化を徹底した経済)への移行を求めているのか?
・その特徴として、企業改革での社外取締役、米国型会計基準、外資の銀行投資などが見られます。
・日本・アジア諸国はアングロサクソン・モデルに移行することが望ましいのか?
(2) 過剰な資本流入をもたらした先進国金融機関=貸し手の責任は?
・アジア危機国は、90年代に国際金融市場から多額の外貨を借り入れたことが危機の原因でした。しかし言い換えれば、先進国金融機関がアジアに大量に貸し込んだということです。
・先進国金融機関は、危機が起こってもIMFの融資により、結局、自分たちの融資は返済されるだろうというモラル・ハザード(道徳性・規律の欠如)があったと、国際機関で批判されています。
(3)過剰な資本流出入をうまく監視できなかったのか?
・1996年までの過剰なアジアへの資本流入を事前にモニターすべきであったという指摘が国際機関で指摘されています。
← 5-4
6-1 →