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modern chinese economy
2-3. ソ連援助と飛地建設
担当:甲南大学 青木浩治 藤川清史


 中国共産党はソ連と同様の5カ年計画方式を採用しました。第1次5カ年計画は1953-57年。これは、希少な資源を国家に集中し、急速な工業化を目指すものです。

 余談ではありますが、確かにこの方式は、経済発展の初期には成功するようです。1950年代にはアメリカでも、資本主義よりも社会主義の方が勝っているのといったことまで議論されるようになりました。アメリカがアジアでのソ連の影響力が強まることを極度に警戒した時期でした。もちろん社会主義も大きな矛盾を抱えていたことは、その後の歴史が示すとおりです。ポール・クルーグマンというアメリカMITの有名教授が、1995年に「幻のアジア経済」という論文を発表し話題になりました。これは次のような内容です。「アジア諸国の経済発展は、ソ連の初期の経済発展と同じように、資源の総動員によるところがおおきい。だから、早晩行き詰るので、アジアを脅威だと思う必要はない。」これまた極端な議論ですね。

 当事の基本建設投資の約40%が大型の重工業プロジェクトでした。しかも、その約80%が内陸部に点在するように計画されたのが当事の特徴です。こうした建設方式を「飛地建設」といいます。

 ソ連の援助項目156項目のうち118項目、中国独自の重点プロジェクト694項目のうち約70%が内陸部の飛地建設でした。

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