メインバンク 金融機関論

 銀行借入中心の資本調達の結果、わが国においての銀行と企業との関係はメインバンク制と呼ばれる、単に資金の貸し手と借り手の関係を越えた密接な関係が構築されました。

 メインバンクとは、企業の経営活動において、取引銀行の中で最も多額の融資を受けている銀行を通常指しますが、単に融資するだけでなく、その企業の決済の窓口になっていたり、株式所有や役員派遣もしているケースが多いようです。

 メインバンク制の銀行側と企業側のメリットとしては、次の点があげられます。
    銀行側のメリット
  1. 安定的な取引先の確保
  2. 決済口座や役員派遣を通じて企業の内部情報を獲得できることで、債権がよりよく管理できる
  3. 企業の経営危機時には、企業経営に介入することで経営再建を図れ、最終的には債権の保全ができる

    企業の側のメリット
  1. 長期的、安定的な融資元を確保でき、経営活動における資金調達の安定性を確保
  2. メインバンクが安定株主となることで、乗っ取りや買収の脅威を少なくできる
  3. 景気や情勢一般に関する情報や企業経営に関する色々なアドバイスを受けられる

 このような理由で大企業の圧倒的大多数は、メインバンクがありますが、近年の資金需要の縮小や企業金融の証券化などで、いわゆる企業の銀行離れが進んでいる状況において、メインバンクの機能も変化してきています。[ エクィティ・ファイナンス
(馬場 大冶)