職能別組織・事業部制組織 経営管理論

グラフへ企業の組織構造として典型的なものに、職能別組織事業部制組織があります。

 職能別組織(図a)は、生産、販売、研究開発といった組織の果たす役割や機能によって各部門を分化させた組織の形態です。この組織形態は単一事業の場合には問題はありませんが、企業が多角化(図b)し、複数事業を営むようになった場合にはそれぞれの事業をトータルに管理する機能が存在しないという問題点が生じます。歴史的には企業が多角化し、事業が複数化するにともなって、(図c)のようなそれぞれの事業ごとに分化させる事業部制組織が採用されることが多くなりました。チャンドラー(Alfred D.Chandler)は,このように多角化の進展と組織構造の関係を「構造は戦略にしたがう」と表現しました。

 職能別組織と事業部制組織のそれぞれの特徴について整理しておきます。
事業部制組織
 生産、販売、研究開発といったその事業を行う上で必要な職能がすべてそろう。事業部は、それだけで事業を遂行できる力を持っており、会社の中の会社といった存在。企業においては、独立の子会社のように大きな自律性をもって運営することができる。その結果、市場での変化により早く、市場により近いところで対応することが可能。事業の遂行に必要な職能をすべて持っている事業部は、それぞれに利益計算が可能なプロフィットセンター 管理会計の仕組み]として扱われるため、事業の業績に対して利益責任を負わされる。それによって責任体制が明確であるというメリットの反面、各事業部が全社的な利益を無視して、事業部の利益だけを考え、暴走してしまう可能性がある。

職能別組織
 それぞれの製品に関する意思決定もトップが行い、事業部制組織と比べて集権的。事業にかかわらず各職能毎に部門化されているので、各職能ごとの専門性が増したり、シナジー効果が発生するメリットがある。

(馬場 大治)