私達が目にする物体の運動について、「ある時刻の位置と速度を測定によって精度よく決めることが出来る」、ということは常識です。測定は主として光の反射によるものです。音波による場合もあるかもしれません。自動車やボールに光や音を放射して、その反射波を解析して位置と速度を求めます。私達が物の動きを観測するのに光や超音波を除いて適切な手段が見当りません。
では分子や原子、もっと小さいものとしての電子の運動を観測したいと思ったときはどのようになるのでしょうか。コンプトン散乱の所で学習したように、光をあてると観測すべき対象が跳ね飛ばされて、その位置を正確に測定できるかどうか疑わしくなってくるでしょう。
これから学習する不確定性関係は、その様な状況を数学的に解説したものです。