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quantum mechanics
4-2. 固有値方程式
量子力学 - 太田 雅久
線形数学で習ったことを思い出してください。或るベクトルa→を別のベクトル数式に写像する演算子をJと書くとします。この写像は式で表すと、

数式

となります。もし、演算子Jがベクトルa→λ倍するものであれば、この方程式は

数式

となり、写像によって、方向は同じで大きさの異なるベクトルになるという関係を表しています。この種の方程式を固有値方程式といいます。

先ほど述べた時間に依存しないシュレディンガー方程式は固有関数になっているでしょうか。実は

数式

Hという記号で表されるハミルトニアン演算子として呼ばれるものなのです。Hを用いて先ほどの式を書き直すと

数式

となります。数式は物理状態で、有限次元の場合はベクトルに対応するものです。演算子Hが状態数式に作用したとき、同じ状態だけれどもE倍だけ異なる状態になることを意味しています。即ち固有方程式になっています。
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