図説に関する簡単な解説
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2−9. 太陽電池
― 物理学は地球環境を救えるか? ―
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 太陽電池は地球環境の悪化を抑える一つの有力な材料である。砂漠に太陽電池を敷き詰めれば地球全体に電力需要を賄うことは原理的には可能である。太陽電池を如何に有効に利用するかは物理学を学び21世紀を生きる我々の一つの課題でもある。そこで太陽電池の特性について少し詳しく述べる。太陽電池はPN接合型ダイオードであるためそのIV特性は図2−3−3のようになる。これの光を照射すると図2−9−1のようになる。外部に流す電流が0Aの時の電圧を開放端電圧(Voc)と呼び、外部にかかる電圧が0Vの時の電流を短絡電流(Isc)と呼ぶ。これが太陽電池の一つの特性となる。

 太陽電池は電力を供給するための物であるから図2−9−2のように負荷を与えて使用する。この実験では単なる抵抗を用いるが普通は電卓であったりモーターだったりする。負荷抵抗を変化させたときのI−V特性は図のようになる。抵抗値がゼロの時の電流が短絡電流であり抵抗が無限大の時の電圧が開放端電圧(Voc)である。仕事率はW=IVであるからI−V特性曲線のIとVの積が太陽電池の出力となる。この出力が最大になる電流と電圧の組み合わせを太陽電池の最大動作点と呼び、出力が最大になるように負荷抵抗を選ぶことを整合をとるという。このときに太陽電池の性能が最大限に発揮されることになる。太陽電池にはむやみに負荷をつなげるのではなく、うまく整合を取ることが重要である。最大動作点での電圧をVm電流をImとし、入射光の総エネルギーをPintとすると太陽電池の効率はη=Vm Im /Pintとなる。

 太陽電池は図2−8−1bの様な原理なので一つの太陽電池から得られる電圧には限りがある。バンドギャップエネルギーを電子の電荷で割った電圧(V=eV/e:単結晶シリコンの場合1.1V)以上は原理的に得られない。実際の太陽電池は複数のセルを直列または並列に接続して一つのモジュールとしている。この実験で使用するモジュールは実物を見て分かるように4つのセルを直列にして構成されている。

 太陽電池は地球環境の悪化を抑える一つの有力な材料である。砂漠に太陽電池を敷き詰めれば地球全体に電力需要を賄うことは原理的には可能である。太陽電池を如何に有効に利用するかは物理学を学び21世紀を生きる我々の一つの課題でもある。そこで太陽電池の特性について少し詳しく述べる。太陽電池はPN接合型ダイオードであるためそのIV特性は図2−3−3の様になる。これの光を照射すると図2−9−1のようになる。外部に流す電流が0Aの時の電圧を開放端電圧(Voc)と呼び、外部にかかる電圧が0Vの時の電流を短絡電流(Isc)と呼ぶ。これが太陽電池の一つの特性となる。図2-4-2と図2-8-1を見ればかわるように光電流は順方向とは逆に流れる。従って光電流を JL とすると電圧Vを印加したときに太陽電池に流れる電流は(3)式より
  (式14)
となる。図2−9−1 で光照射時のIV特性が電流が負の方向にずれているのは(13)式の - JL に相当する。(13)式より短絡電流Iscを求めると V=0 とおけば良く J=-JL となる。また開放端電圧を求めるには J=0 とおけばよく、V=(kT/e)ln(JL/J0+1) となる。

 太陽電池は図2−8−1bの様な原理なので一つの太陽電池から得られる電圧には限りがある。バンドギャップエネルギーを電子の電荷で割った電圧(V=eV/e:単結晶シリコンの場合1.1V)以上は原理的に得られない。実際の太陽電池は複数のセルを直列または並列に接続して一つのモジュールとしている。この実験で使用するモジュールは実物を見て分かるように4つのセルを直列にして構成されている。

 太陽電池は電力を供給するための物であるから図2−9−2のように負荷を与えて使用する。この実験では単なる抵抗を用いるが普通は電卓であったりモーターだったりする。負荷をつないでいない時点では電流は流れていないので電圧計は開放端電圧Vocを示す。負荷が非常に大きな時にも電流はほとんど流れないのでVocに近い値を示す。これに対して負荷に電流が流れる場合には必ず電圧降下がおきる。抵抗にかかる電圧とながれる電流の関係は V=IR である。従って降下した電圧と流れる電流の関係も V=IR をみたす。一方太陽電池の電圧と電流の関係は図2-9-1に示したとおりである。負荷にかかる電圧と流れる電流は太陽電池から与えられるものであるから、太陽電池のIV特性と V=-IR の交点が負荷にかかる電圧と流れる電流となる。この関係を示したものが図2-9-2である。負荷抵抗を変化させたときのI−V特性は図のようになる。抵抗値がゼロの時の電流が短絡電流(Isc)であり抵抗が無限大の時の電圧が開放端電圧(Voc)である。仕事率は W=IV であるからI−V特性曲線のIとVの積が太陽電池の出力となる。この出力が最大になる電流と電圧の組み合わせを太陽電池の最大動作点と呼び、出力が最大になるように負荷抵抗を選ぶことを整合をとるという。整合抵抗は図2-9-3のグラフを書くと求めることができる。このときに太陽電池の性能が最大限に発揮されることになる。太陽電池にはむやみに負荷をつなげるのではなく、うまく整合を取ることが重要である。最大動作点での電圧をVm電流をImとし、入射光の総エネルギーをPintとすると太陽電池の効率は η=Vm Im / Pint となる。


図2−9−1

図2−9−2

図2−9−3

太陽電池をダムにたとえると
太陽電池の原理を分かり易く水の流れにたとえてみよう。図のような段差のあるダムを考える。短絡電流というのは図のようにダムの左右に水路のバイパスを付けて水を流すことに相当する。水(電子)は左右で自由に流れるために水位(フェルミレベル)は左右で一致する。半導体に光を当て電子を励起すると言うことは水をポンプ(P)で汲み上げることに相当する。このときには水を汲み上げた分だけ水は流れる。従って光励起した分だけ短絡電流は流れる。


では次ぎに水圧計(電圧計)を挿入しバイパスの水の流れをせき止めてみよう。これは開放端電圧を測定していることに相当する。このときにポンプで水を汲み上げると水は流れないために右側の水位が上がる。このときの左右の水位の差が水圧でありすなわち電圧に相当する。水の流れは高低差を利用しているために汲み上げる量が多くなると高低差が減り水は流れにくくなりあるところで落ちつく。したがってポンプで汲み上げる水の量が多くなってもある程度以上の水圧にはならない。すなわち、入射光量が増加しても開放端電圧はある程度以上にはならない。


太陽電池に入射した光子数と開放端電流はほぼ比例する。
入射光子数をいくら増やしても電圧は原理的にある程度以上にはならない。


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