実験の目的 市販の半導体素子はパッケージに封入されており内部を見ることはできない。そこでショットキー接合型ダイオードを作成し半導体素子の構造を理解する。自作した素子の電流−電圧特性を測定することによって半導体と金属を接触させた場合にオーム性接触にならないことを理解する。複雑な働きをするIC、LSI、CPU、マイクロプロッセサなども基をただせばダイオードの組み合わせである。
実験 n型シリコン単結晶の裏面にオーム性電極を形成する。シリコンは非常に高純度なので汚染に注意する。人間の手の油などはもっとも大きな汚染源である。従ってシリコンは直接手で触れることの無いように必ずピンセットで取り扱う。また念のために使い捨ての手袋をはめる。InGa は毒性があるので直接手で触れたりしない。
<シリコンの裏面へのオーム性接触の形成>
- シリコン表面(光沢のある方)に傷を付けないようにキムワイプを机の上に引き表面をしたに裏面を上にしてキムワイプの上にシリコンをおく。
- シリコンの裏面を紙ヤスリで傷つける。
- InGa合金を爪楊枝でシリコンの裏面にこすりつける。塗布する量は少な目にする。(InGa合金は余計なところに付着するととれにくく汚染源となるので慎重に取り扱う。またInGaには毒性があるので身体その他に付着しないように注意する。)
- ステンレス板の上にもごく少量InGaを塗布する。(シリコンの面積よりも小さく)
- シリコンのInGa塗布面とステンレス板のInGa塗布面が合うようにシリコンをステンレス板の上に載せる。これで裏面はオーム性接触となっている。
- タングステンの針をシリコン表面におろし接触させる。タングステンの針とシリコンの表面にショットキー接合が形成される。
以上で簡易的なショットキーダイオードの完成である。
<測定>
- 市販のダイオードと同様な回路をくむ(このとき針に正の電圧を印加したのか負の電圧を印加したのか必ずひかえておく)
- −1Vから+1Vの範囲で0.2Vずつ印加電圧を変化させ電流を測定しグラフにプロットする。
- 作成したダイオードのどちらを正の電圧にしたのか必ず控えておくこと。
一般的注意事項
レポートに書くべきこと
- 作製されたショットキーダイオードの電流電圧特性。方眼紙と片対数。
- ダイオードのn値。
- 前節4.1の市販のダイオードとの比較。
- 針を立てたところとInGaを塗布した面のどちらがショットキーになっているのか。実験結果をもとに原理を参考にして考察せよ。
レポートの書き方 グラフの書き方
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