社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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0-2 社会調査の倫理
0-2-1 「社会調査の倫理」とは


 社会調査を学ぶ時間のなかで、その多くは調査の技法と論理の習得に費やされます。しかし、どのような調査方法を用いたとしても、実社会において調査活動を行ううえで常に考えておかなければならないことが「社会調査の倫理」です。
 特に近年はプライバシーに関する意識が高まる一方で、個人情報の流出事故がメディアを賑わせており、たとえ純粋な学術目的に基づく調査であっても、調査対象者から信頼と協力を得ることは難しくなってきました。調査を行う者ひとりひとりが対象者の立場を理解し、調査の倫理とルールを十分に認識し、遵守することが求められています。
 社会調査士、および専門社会調査士の資格認定を行う社会調査士資格認定機構は、その発足にあたって調査の企画から実施・結果の報告に至る社会調査の全ての過程において依拠すべき基本原則と理念として以下のような「社会調査倫理綱領」を策定しています。

社会調査士資格認定機構「社会調査倫理綱領」

第1条社会調査は、常に科学的な手続きにのっとり、客観的に実施されなければならない。調査者は、絶えず調査技術や作業の水準の向上に努めなければならない。
第2条社会調査は、実施する国々の国内法規及び国際的諸法規を遵守して実施されなければならない。調査者は、故意、不注意にかかわらず社会調査に対する社会の信頼を損なうようないかなる行為もしてはならない。
第3条調査対象者の協力は、自由意志によるものでなければならない。調査者は、調査対象者に協力を求める際、この点について誤解を招くようなことがあってはならない。
第4条調査者は、調査対象者から求められた場合、調査データの提供先と使用目的を知らせなければならない。調査者は、当初の調査目的の趣旨に合致した2 次分析や社会調査のアーカイブ・データとして利用される場合および教育研究機関で教育的な目的で利用される場合を除いて、調査データが当該社会調査以外の目的には使用されないことを保証しなければならない。
第5条調査対象者が求めた場合には、調査員は調査員としての身元を明らかにしなければならない。
第6条調査者は、調査対象者のプライバシーの保護を最大限尊重し、調査対象者との信頼関係の構築・維持に努めなければならない。社会調査に協力したことによって調査対象者が不利益を被ることがないよう、適切な予防策を講じなければならない。
第7条調査者は、調査対象者をその性別・年齢・出自・人種・エスニシティ・障害の有無などによって差別的に取り扱ってはならない。調査票や報告書などに差別的な表現が含まれないよう注意しなければならない。調査者は、調査の過程において、調査対象者および調査員を不快にするような性的な言動や行動がなされないよう十分配慮しなければならない。
第8条調査対象者が年少者である場合には、調査者は特にその人権について配慮しなければならない。調査対象者が満15 歳以下である場合には、まず保護者もしくは学校長などの責任ある成人の承諾を得なければならない。
第9条記録機材を用いる場合には、原則として調査対象者に調査の前または後に、調査の目的および記録機材を使用することを知らせなければならない。調査対象者から要請があった場合には、当該部分の記録を破棄または削除しなければならない。
第10条調査者は、調査記録を安全に管理しなければならない。とくに調査票原票・標本リスト・記録媒体は厳重に管理しなければならない。


 以降では、とくに調査対象者との関係において遵守すべき社会調査に関する倫理とルールについてみていくことにします。

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