社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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1-4 データの分析
1-4-5 平均値の比較


どのような時に使うか
  1. 2変数間の関連を明らかにしたいとき。
  2. 2つの変数のうち、一方がカテゴリカルな変数で、一方が連続変数のときに使う。カテゴリカルな変数が仮説のなかで説明変数にあたるケースが望ましいが、逆の場合でも可。
  3. 無作為抽出された標本の場合は、t検定(平均値を求めるグループの数が2つの場合)か、分散分析(平均値を求めるグループの数が3つ以上の場合)を行って検定(標本の状態から言えることが、どのくらいの正確さで母集団においても当てはまるかどうかを統計的に確認すること)する。無作為抽出ではないサンプルの場合は参考程度の指標にしかならない。検定することに意味があるかどうか考えてから分析しましょう。

操作手順
  1. [分析]→[平均の比較]→[グループの平均]へ進む。
  2. 左側のボックスから、カテゴリカルな変数を「独立変数」ボックスに、連続変数を「従属変数」ボックスに矢印ボタンを使って入れる。終わったら「OK」を押して実行する。

     下の例は、阪神・淡路大震災時に支援された経験の有無を「独立変数」に、現在防災対策として行っていることをマルチアンサー形式で質問した項目から計算した防災対策の数を「従属変数」に入れている。なお独立変数・従属変数とも複数の変数を指定できる。たとえば、性別や学年、きょうだい関係を「行」に入れて、被説明変数を「列」に入れれば一括して属性との関連を集計できる。また独立変数は層別の集計が可能で、たとえば、層1/1として性別を入れて「次」を押し、層2/2として震災時の支援経験を入れると、男女別の集計と男女それぞれにおける震災時の支援経験の有無別にみた防災対策数の平均値を求めることができる。

画面:手順2 グループの平均


論文における平均値の記載方法
  1. 本文中にSPSSの出力結果をそのままコピー&ペーストすることのないように。
  2. グループごとの平均値を掲載する場合、表形式でもグラフ形式でも良い。表の場合、最低限、以下の例くらいまではエクセル(またはワード)で整形すること。SPSSの出力結果をエクセルで編集する際は、SPSS出力ウィンドウで編集するクロス表を選択してコピーし、エクセル上で[形式を選択して貼り付け]→[テキスト]を選択する。整形し終わった表・グラフをワード文書にコピーする際は、エクセル上で表・グラフを選択して、ワード上で[形式を選択して貼り付け]→[図(拡張メタファイル)]を選択する。
  3. 論文は内容とともに「見た目」も大事。表のなかの文字が切れていたり、不要な罫線が引いてあったり、フォントがバラバラだったり・・・といったミスをしないよう時間をかけて丁寧に作表すること。
表1 男女別にみた○○得点
 平均値標準偏差
男 性4.531.43
女 性3.251.92
合 計3.881.53

実践的なメモ
  1. グループ別の平均値の比較を行う場合は、平均値を求める変数の内容と数値の方向を合わせておくと解釈しやすい。たとえば、大学生活への満足度を聞く質問では、「1.満足している 2.やや満足している 3.あまり満足していない 4.満足していない」という選択肢がよく用いられるが、このまま平均値を求めると、不満足の高さを比較することになってしまう。そこで、「値の再割り当て」によって、満足しているほど高い数値になるよう値を変換する(1→3/2→2/3→1/4→0のように)と、満足度の平均値になるので集計結果を解釈しやすくなる。

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