社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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1-6 社会調査の公開データを利用する
1-6-1 社会調査の公開データとは

厳しい調査環境と公開データの利用

 近年、プライバシーに関する意識の高まりや商業目的のアンケート調査の増加(なかには調査と称した訪問販売なども…)などによって、純粋な学術目的であっても社会調査に対する協力はなかなか得にくい状況にあります。また、調査の対象である母集団の状態を正確に推定するには、標本台帳からのランダム・サンプリングが必要となりますが、抽出に必要な有権者名簿や住民基本台帳の閲覧も自治体による管理が厳しくなり難しくなってきています。
 アンケート調査によって得られるデータを分析したい、でもコストも高いし、ランダム・サンプリングも難しい、たとえ実施できても回答者の協力が得られにくい…。そもそも、大規模なアンケート調査を個人で実施することは難しい…。しかし、データ分析をしてみたい。そこで、オススメするのが「公開データの利用」です。


公開データとは?

 公開データとは、データアーカイブなどに登録されている過去に実施された調査の個票データのことをいいます。過去に実施された調査、と聞くと、もう十分に分析しつくされているのではないか、新しい分析はできないのではないか、と思うかもしれませんが、そんなことはありません。分析者のアイデアしだいで既存のデータを利用した分析からも新しい知見が得られるケースは多数あります(ただし、過去にそのデータを使ってどのような分析が行われたのかを探索しておく必要があることは言うまでもありません)。
 また最近では、データを収集した後に研究者に広く利用されることを前提として様々なトピックを盛り込んだ総合的な社会調査も実施されており、公開データを管理、利用の際に窓口となるアーカイブも充実しつつあります。ここでは、そのような公開データの利用について紹介します。


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