社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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1-6 社会調査の公開データを利用する
1-6-3 公開データ利用の実際

公開データを利用した研究のプロセス
 公開データを利用して分析を行うプロセスは、通常のアンケート調査のプロセスとはやや異なります。
 大きく分けると以上の5段階になりますが、この他にも、利用実績の報告などデータアーカイブ、利用する公開データによって様々なプロセスがあります。

注意しよう
 公開データを利用して分析を行う場合、自分で調査票を設計する(質問文と選択肢を考える・調査票としての体裁を整える…など)、調査を行う(対象者をサンプリングする・訪問する(または郵送する)・データを入力する…など)といったプロセスが省かれるので、多くの時間を「データの分析」「分析結果の解釈」に割くことができるというメリットがありますが、同時に注意しなければならない点もあります。
  • 自分の研究対象とデータの調査対象はマッチしているか?
     公開されているデータによって調査対象となっている地域、対象者の属性は様々です。自分がどのような対象についての分析を行いたいのか、利用したいデータがその対象をカバーしているか、していないとすればどの部分か、それは修正可能かどうか、利用を申請する前によく確認しておこう。
  • 自分の分析に適切な変数がデータに含まれているか?
     例えば、一言に「職業」と言っても、職種、従業上の地位、役職、勤め先の規模など様々な質問の仕方があります。またそれらの項目が、どのくらい細かく分類されているか、という点もデータによって異なります。データに含まれている変数が自分の分析にとって適切かどうか、限界があるとすれば、どの程度妥協することができるか、よく確認しておこう。
 自分で調査を設計・実施せずに公開データを利用する場合は、このような問題が常に存在します。公開データを利用した分析の限界を十分に理解して研究を進める必要があります。

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