社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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3-1 観察法とは何だろうか?
3-1-3 技術編1:観察法とカメラ


 観察法では、様々な対象物を記録していきますが、その中でも比較的多く用いられる機材にカメラがあります。もちろん、この他にも、録音機材(テープレコーダやボイスレコーダ)、スケッチブック、メモ帳、はさみ、のり…、対象物に相応しい道具を用いることになります。
 例えば、街の観察を行うときにカメラを持てば、街の見方が微妙に違ってくることに気づくでしょう。見慣れた日常の風景も、非日常のまなざしで見ることにより、対象との「距離化」がおこり、新たな発見につながることもあります
 このパートでも、観察法の一環としてカメラを多用します。最近は、携帯電話にデジタルカメラがつくようになりました。普段、講義でケータイをいじっていると怒られますが、ここでは、この普段怒られるものを最大限活用してしまいましょう。

フィルムカメラ
 レンズつきフィルム(いわゆる使い捨てカメラ)から高級一眼レフ、クラシックカメラまで、きちんと写ればなんでも可。大事なのは、画質よりも、画角と構図です。あえて言えば、フラッシュがあれば暗いところが撮れ、望遠であれば遠くのものが撮れるというメリットがあります。ただし、フラッシュには光が届く限界距離があることをお忘れなく。プロ野球のTV中継で、外野からフラッシュがたかれていることをよく目にしますが、きっと写真は真っ暗です…。
 フィルムカメラを使う人は、現像の際に、CD-ROMへの焼付けサービスを申し込むか、あるいはネガかプリントされたものを、自分でスキャナを使ってコンピュータに取り込むこと。デジタルデータにするということが前提です。

※画角: 焦点距離の違いによる写る範囲(の角度)のこと。望遠だと遠くのものが大きく写るが、写る範囲は狭い。広角だと、写る範囲は広いが、遠くのものは小さく写る。
※構図: 芸術性は問わないので、ここでは難しく考えず、画面内にある被写体をバランスよく配置することと理解しておく。ただヤミクモにシャッターをきるのではなく、自分は何を記録しようとしているのかを良く考えて撮影しよう。たまには逆光や測光で、あるいはグッと寄って…、説明的な視覚についても考えながら撮影してみよう。

デジタルカメラ
 やはり、きちんと写れば何でも可。もちろん、画素数はなんでもよい。ただし、フラッシュメモリかケーブルでコンピュータに転送できるようにしておくこと。

※画素数: デジタルの画像は、点(画素)の集合。したがって、画像あたりの点の数を画素数という。一般に、多ければ多いほど高画質になるが、それだけ1ファイルあたりのサイズも大きくなる。

携帯電話の内蔵カメラ
 ケータイについているデジタルカメラ。10万画素〜100万画素のものがあるが、基本的にはどれでも可。注意すべき点は、撮影する際の「撮影モード」で、ケータイの画面サイズ(標準モード)ではなく、VGAサイズ程度のjpegファイルを出力するモード(PCモードやデジタルカメラモード、iショットLサイズなど)で撮ること。ケータイの画面サイズでは、プレゼンテーションやレポートには適さない。
 ケータイの画面サイズしか撮影モードがない機種や、大きい画像が撮れてもメールでの送付に対応していない(撮影データをコンピュータで利用する手立てのない)機種の場合は、一般のフィルムカメラかデジタルカメラを利用した方がいいでしょう。


撮影にあたってのマナー(重要!)

 撮影の腕よりも大事なのは撮影マナーです。風景などの場合は、人の邪魔にならないようにし、また、何をしているのかたずねられたら、きちんと身分と目的を述べること。実習であっても、「甲南大学の学生で〜、実習の〜、課題として〜」などと、きちんと説明しましょう。間違っても、ぴゅ〜っと逃げないこと!。また、対象が人物の場合、特にその人物が特定できるような写真の場合には、きちんと相手に承諾を得ましょう。自分が逆の立場だったらどう思うか。当事者の立場に想いをはせることは、観察法の基本です
 当然のことですが、隠し撮り、盗み撮りと疑われるような行為は厳禁です。実査よりも、人間社会のマナーが優先します。


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