2つの調査目的
どんな調査であっても、そこには、データを収集し、そこから何らかの事柄を明らかにする作業が含まれます。この、何らかのことを明らかにするという目的は、仮説検証と問題発見という大きく2つの方向性にわけることができます。これらは相互に補完的・連続的で、実際の調査はこの間のどこかに位置づけられると考えればいいでしょう。
1.仮説検証型の調査
あらかじめ、ある問題意識に基づいて仮説(ある変数と他の変数の間に、どのような関係があるのかを述べたもの)を設定し、それを確かめる(検証する)ための調査。原則として、調査の枠組みは最初から最後まで変えることはしない。質問紙調査の多くが該当するが、観察法でも仮説検証型の調査目的をたてることができる。
例:「社会学科の学生はおしゃれだ」
⇒おしゃれだという仮説を確かめる調査を行う。
・何を見ればおしゃれがわかるか? =服装、かばん、靴など
・それがどうであればおしゃれといえるか? =今年流行の服装かどうか、靴の種類など
・社会学科がおしゃれだというには? =上記の観察記録を作り、他学科との比較を行う
2.問題発見型の調査
まだよく知られていない事象、仮説が明確でない対象などについて、新たな問題や仮説を発見するための調査。非構造的な調査枠組みであるから、調査を行いながら、その調査枠組みを変えることもありうる。
ただし、以上のことは、あてずっぽうに始めればいいとか、問題意識がまったくないまま行ってもいいなどということを意味しない。そのようにして始めても、すぐに“何を観察しているのか”を見失ってしまいます。
例:「甲南大学の魅力は何だろうか?」
⇒その魅力を探索的に発見するための調査を行う。
・甲南の学生はいつもどこにいるのだろうか?
・どのようなキャンパスで、人の流れはどうなっているのだろうか?
・OBやOGは、甲南にどのような記憶・思い出があるだろうか? などなど
観察法の長所と短所
観察法が得意とすること
- 幅広い種類の素材を対象とすることができる。
→雑誌やテレビCM、公文書や日記、ポスターや看板…
- 対象の“生=自然”の状況を知ることができる。
→あらかじめ調査者から問題を設定するのではなく、対象の自然な状況を切り取るため、それだけ対象者の“生”の記録が可能となることが考えられる。
- 対象の全体像を知ることができる。
→ある対象を、同時にかつ多面的に調査するため、包括的にその対象を知ることができる。
観察法が苦手とすること
- 多くのサンプルを集めることが難しい。
→調査は、ある程度限られた範囲・数に限定される。
- 量的に分析することが難しい。
→観察法もコード化することで量化できる場合もあるが、多くの場合、最終的なデータは個別具体的な情報となる。全体の傾向を求めることは困難となる場合が多い。
 |
 |
上に上げたこと以外に、観察法の長所と短所をそれぞれあげてみよう |
|
|