分析するにあたって
観察法による分析は、既に準備の中にあり、記録作業や整理作業の中にあり、そしてこれから行う表現の中にもあります。したがって、調査しているとき、調査データを整理しているとき、それらのデータを眺めているとき、それぞれの段階で、何か考えることがあるとすれば、既に頭の中での分析は行われているといっていいでしょう。
そうは言っても、この状態でいきなり原稿の前に向かっても、おそらく説得的な議論はできません。ここで改めて、これまで考えてきた事柄を意識的に行うこと(分析すること)が必要となります。記録はしたが、はてどうしたものか・・・、と途方にくれてしまった場合も同じです。
観察記録を前に、あるいはそれらを整理・分類しながら、次のことを考えてみよう。
観察してきた記録に・・・
- どのような特徴があるだろうか
- どのような共通項が見られるだろうか
- どのような差異や見られるだろうか
- どのようなパターン(法則性や規則性)を見られるだろうか
- その事象は何を示して(象徴して)いるのだろうか
その他、各自で考えてみよう。
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各自が行った調査記録から、特徴、共通項、差異、パターンなどがあるか検討してみよう。 |
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また、その記録が何を象徴しているか、示しているかについても考えてみよう。 |
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最後に、これらのことを、まずは箇条書きなどで「言語化」しましょう。 |
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調査データの加工と編集
また、これらのことを考えるにあたって、記録したデータを加工・編集することが有用です。これらは表現の一形式であり、同時に分析そのものでもあります。
例えば・・・
- 量的に把握・分析し、表やグラフを作成する
- カテゴリーごとに分類し、表を作成する
- 年表を作成する
- 地図を作成する
- 概念図や関係図を考える
その他、各自で考えてみよう。
ところで、観察法には、例えば質問紙調査での統計的な手法のように、「誰でもそのとおりにやれば、自ずと結果が出る」という意味での体系的な手法は存在しません。観察する手法を自ら考えることも大事なのです。
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