社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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4-2 表象分析
4-2-1 ビジュアル分析の準備


(1)ビジュアルを分析する

 では、表象分析の方法を用いて、具体的に分析してみましょう。
 ここでは、皆さんの身近な広告を取り上げることにします。毎日、朝起きてから甲南大学に来るまでのあいだに、皆さんはいったいどれくらいの広告を目にするでしょうか? テレビをつければCM、新聞を読もうとすれば折り込み広告から紙面の広告まで、おびただしい広告を目にすることでしょう。幸い(?)にして、テレビや新聞の広告を見ずにすんだとしても、街には看板や広告があふれています。でも、吊り広告にあふれた阪急神戸線やJRの車内も、視点を変えればスリリングな知的空間に変貌するはずです。一枚の広告から作り手やスポンサーの意図を読み解くだけでなく、今日の社会や文化を考えるひとときは、退屈な通学を刺激に満ちた時間に変えてくれることでしょう。これから皆さんといっしょに試みる方法は、あくまでひとつの分析法にすぎませんが、いっしょに挑戦してみましょう。

(2)分析する広告、メディア

 分析する広告は何でもかまいません。タバコやお酒でも、化粧品、ファッション、車、洗剤、洗濯機、風邪薬、ラーメン、チョコレート、コンビニエンスストア、英会話学校、生命保険、大学…。媒体も雑誌でもテレビCMでも街の看板でもいいです。テレビCMの場合は、最近ではインターネットの会社案内に自社広告を流している場合があり、そこで見ることもできるでしょう。以前、テレビCMのなかに登場する「人種」のイメージと商品にどのような関連や特徴があるのか調べた学生がいました。彼は、ビデオの三倍速でテレビをずっと録画し続けて、その中からCMだけ抜き出し調査・分析しましたが、今では長時間録画ももっと簡単でしょう。その結果、日本で流されるテレビCMに「白人」の多いこと、「黒人」は少数ですが登場する場合は、黒い色の連想(缶コーヒー)やスポーツ・音楽関連、躍動性や筋肉の強調などの特徴を持つことがわかりました。今、調査するとどのような結果になるでしょうか。


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