4-3 | いかに視覚イメージを読み解くか――第1次世界大戦期、米国プロパガンダポスターを例に I.基礎篇:イントロダクション |
20世紀は、戦争の世紀、メディアの世紀であったという。21世紀に入ってからも戦争は止むことなく、また私たちは毎日、街頭の広告や、TVやインターネットの情報、アニメ、マンガ、美術館の絵画にいたるまで、おびただしい量のビジュアルイメージに囲まれ日々新たに遭遇しながら生活している。これらの情報を私たちはどのように読み解いているのだろう? また、どのように読み解くことを期待されているのだろうか? 多種多様にわたる視覚イメージの中でも、この項目では「戦争の表象/表象の戦争」の問題を取り上げる。戦争という最大の暴力に人々がどのようにして駆り立てられてきたのか、戦争を肯定し、敵を憎む意識はいかに生み出されてきたのかを知ることから、戦争のない未来の構築は始まる。
1 東大のコレクションについては、次の文献が参考になるので、興味のある人は読んでほしい。
◇吉見俊哉『戦争の表象――東京大学情報学環所蔵第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスターコレクション』東京大学出版会、2006年 ◇吉見俊哉総監修『モード・オブ・ザ・ウォー――東京大学大学院情報学環所蔵 第一次世界大戦期プロパガンダ・ポスターコレクションより』印刷博物館、2007年 |