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では、家の内側という女性空間に女がいるとどうなるのだろうか?
第1次世界大戦が始まってまもない1915年、英国で作られた「英国の女たちは言う、行け!」(E. Kealey作)というポスターを見てほしい。英国 Imperial War Museum のサイト(http://www.iwm.org.uk/)において「collections」→「search」→「Women of Britain say go」で検索をかけるとみることができる(最終確認日2009.6.9)。今度は、窓の内側にいるのは、女子供である。「君はこの窓のどちら側に立つのか」のポスターと同様、彼女たちは臆病だと非難されているのだろうか?
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「英国の女たちは言う、行け!」のポスターでは、「君はこの窓のどちら側に立つのか」と同様に、画面の空間は、窓によって大きく二つに分けられ、対比されている。だが、女性は夫や息子にすがりつくことも泣くこともせず、毅然とした表情で彼らを戦場に送り出し、幼い子供を守って家庭の中にいる。子どもたちは母にしがみつきながらも、じっと家族の出征を見つめている。ジェンダー役割に則って家を守り、進んで男たちを戦場に送りだす家庭は見習うべきモデルであった。それゆえに、大義のある外の世界と同様、家の内部であっても明るく陽の射しこむ空間として描かれているのである。
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