第1次世界大戦期の米国でのプロパガンダポスターを調べてみると、男性を軍隊に集めるための募兵や戦時国債の資金集めや、傷病兵への救援、銃後の労働への参加・協力、敵への憎しみや愛国心の喚起など、様々な目的があったことがわかる。そして、それらの多くはジェンダーの政治学を利用して、大衆にアピールするように図像化されていた。 英国やドイツなどと比較するとプロパガンダ・ポスターの表象にはそれぞれ国によって特徴があることがわかるが、米国のポスターに現われる女性像をここでは次の6種に類型化してみた。(1)女神、(2)母・妻・娘という家庭人、(3)女性看護師、(4)看護職以外の戦争支援職、(5)銃後の女性労働者、(6)セクシーガール、である。では、それらの女性像が、プロパガンダの役目を果しえたのは、なぜなのだろうか?