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4-6 学科紹介パンフレット制作体験記
4-6-15 制作体験記:ゼミ適性診断


ゼミ適性診断担当学生による制作体験記

構想
 前期が終わる頃のゼミで、田野先生から「手作りの社学のパンフレット」をこのゼミで作ってもいいですかと聞かれ、承諾したのが制作の始まりでした。翌週のゼミで、一人ずつパンフレットに載せる企画を発表しました。私は、「高校生向け」であることと「社学を紹介して身近に感じてもらう」という点に注目して、高校生が好むような「性格診断チャート」と「社会学科」を関連させて、社会学科を身近に感じてもらおうと思いました。このページは一人でやったほうがいいと言われたので、一人で製作することになりました。

社学ゼミ診断チャートができるまで
・チャートの形式
 最初にどういったチャートにするかを考え、雑誌などでよくみるYes−No形式のチャートにしたら簡単でわかりやすいと思いました。また、雑誌の性格診断では、矢印をたどっていくと最後に「あなたは〜タイプ」という項目にたどりつくようになっており、その部分を社会学科のゼミにあてはめることにしました。

・グループ分け
 次に、各ゼミをゼミの雰囲気、先生の研究テーマ、ゼミの性質の面からグループ分けしていきました。大きく二つのグループに分けられるような項目と、もっと細かく分けられるような項目を作りました。たとえば、ゼミの研究スタイルとして、「フィールドワークを主として行うアウトドア派のゼミ」と「文献を読んで研究を進めていくインドア派のゼミ」で分けたりしました。これは、質問を考えていく上で非常に重要な作業でした。

・質問項目
 一通りグループ分けが終わると、今度は質問を考えました。せっかく作るなら、できるだけ正確にその人にあっていると思われるゼミにたどりつくようにしたかったので、質問を考えるのには、全工程の3分の1ぐらいの時間をかけました。学生なりにがんばって、実際の雑誌の性格診断に負けないようなものを作りたいと思っていました。
 最初の質問では大きく二つに分けるような質問(アウトドア派かインドア派かなど)をして、進むにつれてどんどん細かい事柄(先生の研究分野に興味関心があるかなど)を聞く質問を考えました。質問が何個かできると簡単に紙にチャートを書いてみたりしました。

 苦労した点は、日常の何気ない質問と研究分野などの専門的な事柄を結びつける点と、解答者ができるだけ即答できるような聞き方をする点です。たとえば、解答者が文化に興味があるかを聞く質問に、そのまま「あなたは地域の文化に興味がありますか」というものでは単刀直入すぎて面白くないし、曖昧で答えづらいです。それを「あなたは旅番組をよくみますか」という質問に変えることで、即答しやすくなり、地域の文化が必ず紹介される旅番組をよく見るかどうかで文化に興味があるかどうかが判断できます。この変換作業がとても大変で、なんとかうまい聞き方はないかと頭をひねりました。また、ゼミで発表した時に、みんなから意見を聞いて作り直したりしました。

・質問項目と矢印の配置
 仮のチャートが出来上がったので、ゼミの時間に実際に何人かの人にやってもらうと、問題があることがわかりました。それは一人の先生に集中してしまったのです。そこでチャートを見直してみると、最後の先生の位置によって、3通りしか行く道がない人や10通り以上ある人など、極端に偏ってしまっていたのです。チャートの構造に問題があると言われ、「スタートの場所を左上でなく中心からにする」や「Yes-No形式ではなく3通りの答え方にする」などの意見が出ました。しかし、構造自体を変えるのは時間がかかるし、大変な作業であるし、実際のゼミの募集時も偏りが出てしまっているので、ある程度の偏りは仕方ないと判断して、矢印の向きや質問項目の配置を変更、または質問自体を変えることで、ある程度は偏らないようにすることができました。

・ゼミの紹介文
 チャートの横にゼミ紹介の文も書かなければならないのですが、これは時間がなかったので、甲南大学のHPに載っている文(http://www.konan-u.ac.jp/faculty/letters/sociology/teacher.html)をそのまま引用しました。時間があればもっと高校生向けのわかりやすい文にしたいと思っていたので、少し悔いの残る形になってしまいました。

・デザイン
 制作には慣れないInDesignを使っていたので、まず使い方を覚えるのが大変でした。矢印の引き方、色のつけ方、文字入力の仕方、特殊効果のつけ方など、すべてが初めてだったので、制作しながら覚えていきました。ゼミ合宿までは、社会調査工房でコツコツやっていました。一部のアイテムはワードで自作しました。

表紙の制作
 年末に平生セミナーハウスで合宿をし、仕上げをしました。もうチャートの作成は終わっていたので、表紙を作る作業をしました。
 表紙は実際の雑誌や週刊誌などを参考にして作りました。横書きで、一番上に大きくタイトルをつけ、その下にサブタイトルを入れました。次に縦書きでそれぞれの特集のタイトルを入れ、週刊現代やFLASHなどの週刊誌風に仕上げました。背景に先生の画像を入れるという案はすぐにボツになりました。
 表紙で一番苦労したのは、背景とタイトルのデザインをどうするかということです。タイトルのフォントはあまり一般的でないものにしたかったのですが、フォントが限られていて斬新なものにはできませんでした。でも文字の縦横比や書体を工夫してなんとかそれっぽくしました。背景には写真を入れたかったのですが、素材を集めることができず大変でした。なんとかInDesignの機能でできないかとあれこれしている中で、「カラフルな矢印を何本も入れる」というデザインにたどりつきました。これならInDesignの機能ででき、デザイン性もある程度確保できました。

制作を終えて
 最初はこんなに手間のかかるものだとは思っていませんでした。しかし、自分で調べて、考え、形にするという過程が自分の中で身につき、実際出来上がったものを見るとそれっぽくできていて達成感を感じました。僕の企画がゼミについてだったので、社会学科の先生方のことをあらためて知ることができましたし、質問項目の聞き方を考えるときに、社会調査法の授業で質問文作成のやり方を習ったことが役に立ちました。大変な作業でしたが、自分のこだわりをかたちにすることができて、それ相応の価値があったと思います。

教員からのコメント
 順調に作業が進み、一番最初に完成しました。
 表紙は最初、矢印の向きが左右反対だったのですが、それだとページをめくる側と反対になり、しっくりこないので、仕上げの段階で左右に反転させました。また、同じデザインを裏表紙にも使いました。さらに、大学校舎の写真も入れました。

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