「社会学科への進学を考えている高校生に向けて、社会学科の実態を在学生の視点からわかりやすく紹介するパンフレットの制作」という趣旨にもとづき、パンフレット制作の方針として以下の点を設定し、制作の主体となるゼミの学生に説明しました。
第一に、読み手として「社会学科への進学を考えている高校生」を想定しているので、高校生が読んでわかりやすく、興味のもてる紹介の仕方を心がけることです。社会学科についてのおおまかな情報は、大学の公式パンフレットにも載っていますから、作成するパンフレットではむしろ、社会学科にはどんな教員がいて、どんな授業が行われており、社会学科の学生がどんなキャンパス・ライフを送っているのかを、もっと具体的にわかりやすく紹介することをめざしました。せっかくパンフレットを作ってもらうのですから、学生ならではのユニークな紹介の仕方を考えてほしいと思ったのです。
第二に、作り手の学生がそれぞれ好きなことを紹介すると、重複する内容が出てきたり、紹介すべき内容が取り上げられないといったことが生じてしまいます。そこでまず教員の側から、パンフレットに最低限必要な内容として、大学や学科の施設の紹介、ゼミの内容の紹介、学生生活の紹介を提示し、それ以外の内容は、適宜取り入れることにしました。制作の作業に入る段階で役割分担を決めることになりますが、その際にはこの点を考慮に入れる必要があります。 第三に、「高校生が読んでわかりやすく、興味のもてる紹介の仕方」として、硬い文章よりもくだけた文章を心がけること、文章よりも写真や絵やグラフを使うようにすること、視覚的に一目でわかるデザインにすることなどを指示しました。わかりやすく視覚的に表現することこそ、効果的な広報の基本であり、しかもそれが、学生の手によるパンフレットの強みであるといえるからです。 第四に、取材や制作の際に、著作権や肖像権、個人情報の取り扱いに注意することです。既成の雑誌やホームページのデザインを参考にするとしても、そこで使われている写真やレイアウトをそのまま借用することはもってのほかです。著作権のある写真や文章を掲載するときは、どこまでが許される範囲なのかをきちんと確認しておきます。また、取材対象には必ず掲載の承諾をとっておかなくてはなりません。とくに取材対象の写真を載せる場合には、使用目的をしっかりと説明した上で承諾をとっておかないと、後々トラブルにつながる可能性があります。そのような事態を避けるために、できるだけ顔を写さないとか、イニシャルで人名を載せるなどの配慮が必要です。 第五に、取材や調査にあたっては、事前に質問の内容や紹介の仕方をよく考え、準備をしておくことです。聞き方一つで、興味深い話が聞けたり、新たな事実が判明したりすることも多いです。目のつけどころが大切なのは、社会調査においても同じで、質問文の作り方などに、それなりの工夫が必要です。また、取材の際には、とにかく写真を撮っておいた方がいいです。後でパンフレットを制作する際に、意外なところで素材に使えることがあります。 |