タイトルは重要です。本論との整合性は積極的に評価の対象とします。ポイントを絞った明瞭なものにしてください。
そのためにはサブタイトルは有効です。やはり人間も論文も「ぱっと見」は大事です。もちろん、世の中に出回っている書籍のタイトルはあっさりしたものが大半ですが、あれは背表紙というスペースの関係や耳目を引くという宣伝戦略の上にたったもので、論文とは発想が根本的に異なります。 ゆめゆめ
「ウケ狙い」だけのタイトル
やる気のなさがにじみ出ているタイトル(やる気の有無は別として…) は絶対につけないように! われわれは商売柄タイトルだけで書籍を注文することが多々ありますが、まずはずすことはありません。つまり、タイトルの附し方で内容やレベルをだいたい把握するという妙な習性が身についてしまってます。
× 「よそ者」について
○ 社会成員の「よそ者」への対応と位置づけ―日本昔話とイソップ寓話を題材に × 現代女性の結婚観 ○ 結婚情報誌にみる現代女性のシンデレラ願望と結婚の実態 × 地域社会と情報 ○ 情報の需要と受容―都市における情報の流れと結節点としての公共空間 × 現代の若者の性意識 ○ 性の商品化と倒錯―現代の若者の恋愛観とセックス観 × 沖縄と私 ○ 〈辺境〉の構成―〈近代日本〉形成過程における沖縄と北海道の再編 × 都市と色彩 ○ 過剰自己呈示社会―都市空間における色彩と象徴の氾濫がもたす人間行動への影響 × 旅の世界 ○ 観光における人間行動と都市第3空間における群衆行動との相似性 × 感覚的写真論 ○ 写真における肉体的感覚の場―初期ヌード写真を中心に― 枠内の例をみて気づかれるでしょうが、論文のタイトルは、研究対象、研究視点という2つを表現するものと考えられます。しかし、往々にして曖昧なタイトルとは研究への視点が欠落しています。また、研究対象の面でも単なる研究分野をおおざっぱに語っているだけで、その分野のどこに焦点を当てているかが不明なものが多いものです。 もちろん、研究に着手した初期段階ですべてを満たすことは不可能ですが、最後の発表の折にはかなり絞られたタイトルにしてください。逆に言えば、タイトルと目次が決まるということは論文の輪郭が半ばみえてきたということを意味し、さらにいえば、あ〜じゃこ〜じゃ悩んでいるくらいなら、強引にタイトルと構成を決めてしまい、あとは目をつむって執筆に驀進するというのも有効な方法です。 昔の人は言いました、「下手な考え休むに似たり」って。 |