社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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7-1 結果のまとめ方
7-1-3 引用 -文中における形式-


 引用は本文中、該当センテンスの後に( )を附し、

著者の姓→刊行年→引用頁

をそのつど明記してください。そして、本文の最後に、引用文献と文献以外の資料と別々に、一覧リストにまとめて下さい。ただし、文献リストでは著者名はフルネームで載せてください。

引用〈例1〉
 ただ、人は通常、出自や永住意志で各個人の地域コミットメントの強弱を測りがちである。なぜだろうか。それは、土地に生まれ落ちたということ、育ったということ、そして永住意志があるということが〈忠誠心〉の証しとなっているからである。つまり、ここには地域への〈担保〉としての出生・成育・定住がある。伝統的なムラ社会を語るとき、人は往々にしてロマンティックな、そしてノスタルジックな誤解―〈和〉の共同体を描きがちである。しかし、内側からは一人の住民として山下惣一が(山下、1975、68頁)、外側からは実験にもとづいて山岸俊男が説くように(山岸、1990、155-170頁)、日本的な集団、日本人の集団志向はけっしてアットホームな言説で語られるものではない。
 以下、いくつかの引用の方法を示していますが、いずれにせよ肝要なのは、引用は明確に!ということです。そうでないと、単なるパクリの誹りを免れませんし、すべてを自分で責任をもたねばならないことになります。試問で突っ込まれて、「いや、それは僕の考えじゃなくて…」といった見苦しい事態に陥ることになります。

引用部分が大きい場合
 引用が著作全体を貫く論調であるときは頁を提示する必要はありません。

→〈例2〉(Ploch、1980)

また、

〜によれば、(引用)
〜の語る点をまとめれば、(引用)

などの文言で概要の引用元を明示するのも一つの手です。

引用〈例2〉
 アメリカ北東部メーン州では、コミュニティ参加意欲においても専門的能力においても優る移住者たちは、地域社会の比較的若いネイティブにとっては、緊張を喚起する存在であった。それは、コミュニティ内で意見が紛糾するのではないか、地域における自分たちのリーダーシップが移行するのではないかといった恐れがあったからである(Ploch、1980)。

翻訳からの引用
 翻訳出版物の刊行年は、日本においての刊行年ではなく、[copyright 1999]などと書いてある原著の刊行年の方を呈示してください。ただ引用頁は、

原著からの直接引用なら、 (Ploch、1980、p.11)
翻訳からの引用なら、 〈例4〉(Anderson、1991、49頁)

のように(p.〜)ではなく(〜頁)と表記して下さい。

引用頁が複数のとき
a. 引用が1頁でしたら、
(Ploch、1980、p.11)
〈例1〉(山下、1975、68頁)

b. 複数頁に連続している場合は、
(Ploch、1980、pp.11-13)
〈例1〉(山岸、1990、155-177頁)
〈例3〉(井上、1984、68-69頁)
〈例4〉(『文藝夏冬』1996年9月号、85-91頁)

c. 複数頁だが連続していない場合は、
(Ploch、1980、p.11-13 ; p.23-25)
(菅、1998、35頁 ; 55頁)
(井上、1984、136頁 ; 245-48頁)
と「 ; 」で区切って下さい。

 なお、ページおよびセミコロンなどは引用( )内では1桁であってもすべて半角で記入してください。

引用〈例3〉
 一時しきりに語られた「オバタリアン」などのレッテルは、ある意味では、不関与の規範が制御する空間の経験の無さや、規範からの逸脱を含意しているとも考えられる。すなわち、不関与の規範の存在とその規制の結果、脆弱ながらも確かに存在する都市的秩序が可能になるのである。すなわち、この立場は、都市=無関心→無秩序という見解が必ずしも当たらないことを示している(井上、1984、68-69頁)。

引用元が複数のとき
 同じ箇所に2つ以上の引用元がある場合は、やはり「 ; 」で区切って下さい。
〈例4〉(『毎朝新聞』1997.10.10、朝刊、第3面 ; 『不自由時間』、87頁)

引用〈例4〉
 さらにこうしたグローバライゼーションと軌を一にするローカライゼーションの結果立ち現れる新たな共同性の契機には、アンダーソンが指摘するようにさまざまな論点の食い違いがある。「今日、多くの場所で国民国家という枠組みにとらわれない形で、まさに〈遠隔地ナショナリズム〉というものが登場しているが、それは通信環境の整備・マスメディアの発達といったインフラ的な構造だけによるものではない」と述べられているように(Anderson、1991、49頁)、こうした二つのプロセスの同時並行性を文化的要因に基づかずに議論することには無理が生じている。ちなみに、マスコミが伝えるアジアの状況は以下のようになっている。
政治面で国際的孤立からの脱却を目指し、中国との融和も徐々に進んでいる。そういった影響を受け、文化全般でも自由な雰囲気が感じられるのが、現在の台湾である。時代ととも変わる性意識。『ウェディング・バンケット』など、ゲイをテーマにした映画が次々につくられ、ヒットしている状況を見ても、それは明らかだろう。(『文藝春秋』1996年9月号、85-91頁)
 周知の通り、われわれは今、経済・政治の分野ののみならず、文化、ひいては日常生活の隅々においてグローバル化の波の中に生きているといって過言ではない。それは、…(『毎朝新聞』1997.10.10、朝刊、第3面 ; 『不自由時間』、87頁)。

引用の方法
 結論として、引用のスタイルは以下のような3通りのやり方があります。

a. 著者の論点を整理し該当頁記載なしで引用元を示す →〈例1〜3〉
b. 原文引用=「」で →〈例4〉「今日、多くの場所で国民国家という枠組みに…」
c. 原文引用=2ポイント字を小さくし、両側を約2cm詰める →〈例4〉政治面で国際的孤立からの脱却を目指し…

 短い引用なら、b. で事足りますが、長くなる場合はc. やa. でしょう。

引用の「仁義」
 ただし、a. すなわち文中に織り込む形の引用には十分な注意を払ってください。
 引用は、スタイルが重要なのではなく、「どこからどこまでが誰からの、何からの引用かはっきり示されている」ということが重要なのです。したがって、あなた自身の考察と引用部分とが切り離されていないのはサイアクです。
 確かにものを考えていると、どこからどこまでが私で、どこからどこまでが引用相手の考えなのかが判然としなくなることはあります。ただ、それでも「書いたものには自己責任を負う」という原則さえしっかり意識していれば結構です。とにかく大事なのは、「どこからどこまで自分自身が責任を負うか」であることは書き添えておきます。
 引用の形式やテクニックの前に、この引用の「仁義」の内実はしっかり把握しておいて下さい。

間接引用(いわゆる孫引き)
 これは極力避けてください!
 ただ常に、元の文章や資料、データが入手可能とはかぎりません。そこで、

・孫引きデータを元にグラフや新たな図表をつくった場合
・参照している著者が引用している文をさらに引用する場合

は該当箇所に、以下のように「〜より」「〜より作成」と必ず記すなり、「:」(コロン)や[ ]などで区別しておいてください。

(リーフェンシュタール:小田、1997、148頁より)
(経済企画庁編『国民生活白書平成9年度版』(大蔵省印刷局)、1998年より作成)
(デュルケーム、[菅、1996、34頁より])

 この形式やルールは、ホームページや雑誌・新聞から拾ってきたデータを再掲載する、加工する場合も同様です。

⇒ 7-1-5 書式とレイアウト

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