社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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8-6 準備は出来た! 内容分析のデータセットを用いて, 論文を書こう


 ファション誌の内容分析で卒業論文を書く人が、『CanCam』『ViVi』『Ray』などに代表される赤文字系もしくはお姉系の2誌について、ある年の1月号から12月号まで計24冊と、『mer』『mini』『SEDA』などに代表される青文字系もしくはストリート系の2誌について、同様に計24冊の誌面の測定が完了し、内容分析のためのデータセットを仕上げたとしましょう。
 ここで、ファッション系統毎にファッション誌は異なる語彙を用いる、といった仮説を確認するための集計を考えてみます。下の表8-3から表8-5まではデータセットを用いたクロス集計表です。因みにこれは架空データです。8-4-5で述べた併合法を用いて、掲載記事のタイトルの、平仮名の「かわいい」、カタカナの「カワイイ」、漢字表記の「可愛い」、ローマ字の「kawaii」、造語の「安かわ」「激カワ」など、「かわいい」の異字同訓や類義語、関連する語をすべて含めて、「かわいい」として捉え、1冊中にそれが出現していれば1の値を、そうでなければ0の値を与えた簡便測定の変数〈かわいい〉、同様の手順で計ったメイクやヘアメイクに係わる変数〈盛り・盛る・盛れる〉、スタイル全般に係わる変数〈わたしらしい〉を測定し、赤文字系と青文字系からなる変数〈ファッション系統〉との関連を調べたものです。
 表8-3から判る知見は、赤文字系のファッション誌では「盛り・盛る・盛れる」という表現が記事タイトルに24冊中で14冊に出現し、58.3%であるのに対して、青文字系では24冊中1冊すなわち4.2%に過ぎません。ファイ係数の大きさは0.584に達しており、0.1%水準で有意でもあります。赤文字系ファッション誌では青文字系と較べて「盛り・盛る・盛れる」という表現が随分と好まれていますね。それとは対照的に、表8-5からは、青文字系ファッション誌では「わたしらしい」という表現が好まれやすいということが判ります。表8-4からは、「かわいい」はファッション系統に拘わらず等しく用いられているという知見が引き出されます。さて、ここから先は皆さんの仕事です。皆さん自身の手で内容分析のデータセットを完成させ、そこから様々な知見を得てゆき、論文やレポートに活かしてゆきましょう。
表8-3_5

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